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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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分水嶺

 千曲川は日本海に注いでいる川である。長野県内の様々な川の流れを集め、県境を越えて新潟に入ると信濃川と名前を変える。信濃の国を流れている間は千曲川で、越後の国に入ってから信濃川になるというのが面白い。

 この川の源流は甲武信岳という山にある。この山の名前は、甲斐の国・武蔵の国・信濃の国の頭文字を取ったものだという。
 この山を源流としている川は千曲川の他にもある。甲斐の国に流れ出るのが笛吹川で、これは山梨県内で富士川と名前を変え太平洋に注ぐ。武蔵の国に流れ出る川は、埼玉県内ほとんどの川の流れを集めて東京湾に至る荒川である。

 つまり、この甲武信岳は分水嶺になっていて、この山に振った雨水は、ほんの少しの位置の違いで、日本海と太平洋とに流れる先が変わってしまうのである。
 この、日本海と太平洋とに分かれる分水嶺というのが、いつ頃からか妙に気になるようになった。
 東京や埼玉といった、関東平野とその周辺に住んでいる人間にとって、川というのはいつも同じ方向に流れ、最終的にはみんな太平洋に注ぐものというのが、体に染みついている感覚というか、考えるまでもない当たり前のことだったのだが。

 中央高速というのは、全区間が分水嶺のこちら側、つまり太平洋に注ぐ側を走っているのだが、韮崎を過ぎて、小淵沢、諏訪、岡谷といったあたりで高速を降りて、ちょっと北に向かう道を辿ってみると、すぐにこの分水嶺というものを実感することが出来る。
 分水嶺は、先の甲武信岳から金峰山・野辺山高原・八ヶ岳・蓼科山・霧ヶ峰とつながっている。

 諏訪南または諏訪ICで降りて少し行くと、茅野から上田に抜けて行く大門街道(国道152号)というのがある。白樺湖のある大門峠までが上り、その先が下りになる。
 峠までは、白樺湖から流れ出る小さな川筋を行く。これは一旦諏訪湖に入り、そこから天竜川となって太平洋に注いでいる。
 峠の先のヘアピンを過ぎるとまた小さな川筋に沿うようになるが、ここで流れの向きが逆になるのだ。この流れは上田の手前で千曲川と合流し、日本海に向かっている。

 だからどうなんだと言われそうな気もするが、どちらもまだホントに小さな流れで、お互いの距離もほんの少ししか離れていないのに、その向かう先が全く違ってしまっているということ、それは何かこう、ひどく不思議で感動的なことのような気がするのだ。
 川の流れで太平洋側と日本海側が分かれているという、発見というのはちょっと大袈裟かもしれないが、この視点はなかなか面白いと感じている。

 鉄道であちこち行くようになると、鉄道というのは川筋に沿って敷設されることが多かったから、峠を越えて川の向きが変わるという場面にも出会うことができる。
 サンライズ出雲で松江の方に行く時、岡山でサンライズ瀬戸を切り離し、夜が明けて姫路から伯備線に入って行くのだが、岡山・鳥取の県境で分水嶺を超えることが、寄り添う川の流れでよく判るのである。
 下りの中央本線で行くと、岡谷までは太平洋側だが、塩嶺トンネルを抜けて塩尻に出ると日本海側になる。線路はその先、中山道(木曽路)沿いに南西に向かって行くが、宿場のあった奈良井までは日本海側である。木曽路の難所の一つとされた鳥居峠を超えて、薮原に出ると太平洋側に戻るのである。

 何だかよく判らない文章になってしまったのでこのくらいでやめておくが、昨日、「お酒」の文章で触れた「佐久の花」は日本海側のお酒で、「御湖鶴」は太平洋側のお酒ということになる。しかし、その仕込み水となった地下水の始まりは、案外近いところにあったかもしれないのである。
by krmtdir90 | 2013-05-16 23:30 | 日常、その他 | Comments(6)
Commented by yassall at 2013-05-17 10:55
千曲川は名前通りの川なのでしょうが、荒川もまた暴れ川の名を恣にした歴史があったのでしょうね。まったく別々の河川だと思っていたのが共に甲武信岳に端を発していたというのは新しい発見でした。一方は日本海へ、一方は太平洋へ。分水嶺というのは方向を分かつ地点であるとともに、源を同じくする原点でもあるのですね。面白いと思いました。
Commented by natsu at 2013-05-18 08:00 x
コメントありがとうございます。
なんだか変な文章を書いてしまったと思っていたので、削除しようかと考えていたら、コメントをいただいてしまったので、そうもいかなくなりました。
でも、文章というのは、書いた側の思惑とは関係なく歩き始めてしまうものなのだなと。
そういうことが、時を置かずにすぐ返って来るのが、ブログというものの面白さの一つなのだと思いました。
Commented by 日下宏 at 2013-06-09 21:07 x
分水嶺は気になりますね。
特に峠越えをする旅行者にしてみれば重大なことかもしれません。

以前、千葉から富山に向かい知人が、碓氷バイパスを上り、軽井沢に入った旧料金所にあるトイレで、「俺の尿が日本海に流れるぜ!」と言ったのを思い出します。
移動しているからこそ、どこへ流れるかが気になりますね。
日本海か太平洋かは別にして、利根川(鬼怒川)と那珂川。那珂川と阿武隈川・・・。
東北道を走りながらも考えてしまいますね。
Commented by 日下宏 at 2013-06-09 21:10 x
群馬と長野の境にある「ぶどう峠」
ここも面白いですね。

テレビがアナログだった時代、同じ38chのテレビ埼玉と長野放送がポケットテレビを持って県境を行ったり来たりしたら、崖の境目できっかり変わりましたね。

しかし、しみこむ水は、地下水の角度で必ずしも県境(峠・分水嶺)通りに行かない場合もあるそうですよ。
Commented by 日下宏 at 2013-06-09 21:11 x
猪苗代湖の水は阿賀野川(日本海)ですが、安積疎水(阿武隈川)もあるので、どちらに行くか微妙ですね。
猪苗代あたりで水を流すと複雑な気分です。
Commented by natsu at 2013-06-10 08:44 x
日下さん、コメントありがとうございます。
川の流れというのは、いろいろと面白いことを考えさせてくれる気がします。中央道をメインに走っていたので、東北道の方はほとんど知らないのですが、今度は少し足を伸ばしてみようかと思っています。
「俺の尿が日本海に…」というセリフ、いいですねぇ。笑えます。
ぶどう峠はまだ走ったことがないのですが、電波の分水嶺(?)とでも言うのでしょうか、非常に興味深いと思いました。
また、よろしくお願いいたします。
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