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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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コピスみよし2017第16回高校演劇フェスティバル(2017.6.18)

コピスみよし2017第16回高校演劇フェスティバル(2017.6.18)_e0320083_2194320.jpg
 今年もたくさんのお客さまにおいでいただき、大成功のうちに幕を閉じることができた。わたしは前日(17日)のリハーサルから、本番当日の6校の舞台まですべてを観させていただいたので、とりあえず簡単な感想を書いておくことにする。いつものことだが、感じたことを遠慮しないで率直に書かせてもらうので了解していただきたい。

坂戸高校「修学旅行」
 坂戸高校はこのところずっと連続してコピスに出演しているが、この間にはっきりした部のカラーが出来上がった感じがあって、今回も見事な仕上がりを見せてくれたと思う。前にも書いたかもしれないが、わたしはこの手のハイテンションな舞台作りは実は苦手なのだが、坂戸に限っては「こういうのもありだよなァ」と不思議と納得させられてしまうのである。坂戸は「ここまでやるか」という、やり過ぎになるギリギリ一歩手前のあたりまでキャラクターを立たせて演じるのだが、それが個々のバラバラ感につながってしまうのではなく、互いに響き合って全員で活気溢れる舞台を成立させてしまうのである。これは簡単にできることではない。
 今回、朝一番という難しい上演だったにもかかわらず、朝から満席になった客席をぐいと掴んだまま、ゆるむことなく最後まで引きずり回して?くれたのは素晴らしかった。こんなふうに反応があると客席にいても楽しいし、やっている側も楽しかったのではないかと思う。コピスのフェスティバルが標榜する「お客さまに楽しんでいただく舞台」を、一本目から実現してくれていたと思う。主役の5人はもちろん、それ以外の脇役もしっかり造形できていて、スタッフも含めて全員の力が結集した好舞台になったのではないだろうか。坂戸の舞台によって、畑澤聖悟のこの台本はやはり素晴らしい台本だと再認識させられた。

朝霞高校「酔・待・草」
 竹内銃一郎の傑作台本だが、自分たちとしてこれをどう上演するのかという読み込みが不足していたように感じた。マリヴォーと違って著作権フリーの作品ではないのだから、時間の関係でカットするのは仕方がないとしても、勝手に現代に移したりセリフを変えたりすることは避けなければならない。少しはまずいと思ったのか、プログラムに顧問(たぶん)が言い訳のような「解題」を書いていたが、こんなものを書くくらいなら判りにくいセリフに註をつければいいだけの話しで、そのくせ台本の展開に重要な意味を持つ「全国こども電話相談室」については一言も触れていないのは片手落ちではないだろうか。ケータイやスマホの普及した時代にこの番組が成立するとは思えないし、実際2008年にこの番組は終了しているのである。電話がどこか別の世界とつながっているというワクワクする感覚は、ケータイのような日常化したかたちでは表現できないものだと思う。サンダンスがかける課長への電話口で、仲間がいろんな物真似をして彼をおちょくるというようなことも、ケータイの時代にはもうリアリティが生まれないような気がした。もう一点指摘しておけば、原作で「静かな湖畔」が歌われるのは、「もう起きちゃいかがと郭公が鳴く」という歌詞が、女が眠るように倒れている場の状況と響き合っているとは考えなかったのだろうか。いずれにせよ、台本に対するリスペクトを忘れた改変からは何も生まれないことに気付かなければならないと思う。
 台本の話しばかりになってしまったが、キャストの作り方も方向性が定まっておらず、妙な戯画化を施した部分がまったく客席に届いていなかったことも反省しなければならないと思う。

筑波大坂戸高校と助っ人たち「階段パフォーマンス」
 昼休みのお楽しみとしてすっかり定着した「階段」を、今年も次につないでくれたみんなに感謝である。今年は観客もいままでで一番多かったのではなかろうか。前日のリハではノリが悪くて少し心配したが、本番ではみんな表情豊かに楽しく踊ってくれたのでホッとした。セリフの部分で、もう少し観客の反応を見てから喋れたらもっと良かったのに(もったいないことをした)と思った。来年は舞台の方に出演校として戻って来られたらいいね。

新座柳瀬高校「Love & Chance!」
 「全国」に向けた新キャストの最初の舞台ということで、期待もあったが心配もあった。でも、いまの時点でこれだけ出来ていれば、おおむね上出来の部類に入るのではなかろうか。顧問のMさんとはいろいろ話したが、とにかくまだ一ヶ月以上あるのだから、これから変われる余地はいっぱいあると考えるべきだろう。
 入れ替わったキャストは、現段階ではとてもがんばっていると感じた。特に1年生で抜擢されたリゼットとルイーズは、表情も豊かだし伸び伸びやれている感じで良かったのではなかろうか。リゼットはセリフや動きも多く、物語を転がす重要な役回りだから大変だと思うけれど、自然に出てくる感情の流れを大切にして、これからも思い切ってやってほしいと思った。シルヴィアには2年生が入ったが、2年生ということで少し責任の重さを感じ過ぎているのかもしれない。「感情を大切にして、思い切って」というところで、やや自分を押さえて「形」に逃げてしまっているところが感じられた。この役の華やかさは「形」だけでは生まれない。気持ちの部分をもっと素直に出せるようになればずっと良くなると思うので、何とかきっかけが掴めるようにがんばってほしいと思った。
 一方で、役が替わらなかったキャストもマンネリに陥らず、新鮮な気持ちでやれているようなので安心した。7月20日の壮行公演、期待しています。 

朝霞西高校「ある日、ぼくらは夢の中で出会う」
 正直、ちょっと眠くなってしまった。原因は幾つかあるが、わたしの側のことを別にすれば、キャストのテンポが単調で変化に乏しかったことが大きかったと思う。この台本の要求しているテンポは違っていると思うが、春に観た時「これもありかもしれない」と思ったのだから、この点についてはその前提で今回も観ていた。だが、唯一女子が演じたカトウを始め、全体としてセリフに勢いがつけられなかったことが大きかったのではないかと感じた。勢いというか力というか、とにかくやり取りが総じて元気がない印象があって、セリフが客席まで届いてこないような気がした。カトウが遠慮していてはこの芝居は転がって行かないし、もっとみんなが前に出ようとする姿勢を見せないと、客席を引っ張っていくことはできないだろうと感じた。みんないいものを持っているのに、それが出し切れていないのは残念な気がした。
 あと、照明が暗かったのも残念だった。リハの時から感じていたのだが、長方形に切ったエリア明かりが、アイディアはいいのだが如何せん暗くて立体感に乏しく、キャストを見せるという意味では成功していなかったように感じられた。

星野高校「リトルセブンの冒険」
 この手のファンタジーは星野好みの台本なのかもしれないが、料理の仕方をよほどしっかり考えてから取り組まないと、ただセリフとスジをなぞっただけで終わりになってしまうと思った。ストーリーの展開が早いのだから、逆に一つ一つのシーンがもっと強い印象を残すように作られていなければならなかったのではないか。たくさんいる登場人物のうち、ミラード公爵やクリスタニア女王などはそれなりに強烈なキャラクターを作っていたが、レッドローズや、何よりもリトルセブンの面々がまったく作り切れておらず、その他の面々も含めて、シーンを成立させるセリフのやり取りがちっとも面白くならないのである。たぶんアクが強すぎると感じるくらいでないと、この舞台は面白くならないような気がした。そういうものが星野に本当に合っていたのかどうか。
 どのシーンを例にしてもいいのだが、たとえば最初にレッドが逃げて来て、追っ手の2人に捕まってしまい、サンが2人に酒を勧めるところ。一つ一つのセリフや仕草にどんな意図や思惑があるのかが意識できていないし、すべてがそういうもののぶつかり合いとしてやり取りされなければ、それぞれのキャラクターは出てこないし、そうしたことをもっと強烈に発散しないと、結局何も表現されないまま通り過ぎてしまうことになってしまう。シーンを構成する全員が一丸となってそのシーンを演じてくれないと、ストーリーは痩せ細るばかりなのである。エピソードの積み重ねがあまり客席のワクワク感につながっていなかったように感じられたことを、ぜひ考えてみてほしいと思った。

東京農大第三高校「翔べ!原子力ロボむつ」
 この舞台を観るのは4回目になるが、緊張感のある非常にいい舞台に仕上がっていたと思う。おかしな言い方になるが、部員全員がこの台本を演じることに使命感と自信を持っていることが感じられた。この一体感は素晴らしいものである。以前からずっとがんばっていたが、昨年の「もしイタ」から農大三高は明らかに変わったのだと思う。それは上演以外の場面でも、廊下やロビーで見かける彼らの姿からも感じられるような気がした。
 「もしイタ」の時もそうだったが、回を重ねるたびにドラマの部分が充実してきているのは大したものだと思った。今回もサツキ・ミナヅキの2人が力尽きるところを、これまで見事に重なっていた2人のセリフを微妙にずらして表現したところなど、細かいところへの配慮や作り込みが感じられて感心した。カズキも今回が一番いい出来だったのではなかろうか。
 物語の前提となる放射性廃棄物に関する情報を観客に届けるところも、きちんと意識して丁寧にセリフを言っていることが感じられて良かった。台本に書かれた重いテーマは、この舞台を通じてしっかり観客に伝えられたのではないだろうか。「それにしても、いったいどうするんだ十万年も」と、みんなが考えないではいられない舞台になっていたと思う。
by krmtdir90 | 2017-06-21 21:09 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(4)
Commented by 稲葉智己 at 2017-06-21 21:22 x
先週末はありがとうございました。
随分と長くこの作品に取り組んできましたが、キャストが変わったことでしなければならないことが増え、それがかえって良かったような気もしています。
まずは新座市民会館の公演までにもう一段階、仕上げられるように頑張ります!
Commented by natsu at 2017-06-21 21:46 x
とりあえずお疲れさまでした。
キャストが入れ替わるというのは大変なこともあるけれど、思いがけず新鮮なところもあって面白いんじゃないかな。
次の公演までにどんなふうに変化していくか、楽しみに待ちたいと思います。
Commented by とうきょうりゅう at 2017-06-21 22:11 x
劇評、ありがとうございました。今回の上演は、「ロボむつ」の「完成形」だと思っています。サツキ、ミナヅキのズレは、台本に1箇所あった「ミス」?から創りました。演出の生徒とベクトルが一緒だったことも幸いしました。さて、秋は・・。困ってます。今後とも、よろしくお願いいたします。
Commented by natsu at 2017-06-21 22:48 x
りゅうさん、お疲れさまでした。
確かに次の「秋」が難しいけれど、彼らの達成点を生かせるような台本を、ぜひ「顧問生命」を賭けて探してやってください。
また東松山の焼き鳥を食べに行きたいなあと思っています。
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