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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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歌舞伎見物「野田版・桜の森の満開の下」(2017.8.16)

歌舞伎見物「野田版・桜の森の満開の下」(2017.8.16)_e0320083_18265646.jpg
 8月の納涼歌舞伎は恒例の3部構成で、第3部(夜の部)が「野田版・桜の森の満開の下」だというので、これは観たいと思って妻に同道して行って来た。
 わたしは「贋作・桜の森の満開の下」を観ていないから、今回の舞台がどんなふうに進化しているのかは判らない。だが、歌舞伎の演目となって歌舞伎座で上演されても、これはいわゆる歌舞伎の枠からは大きく外れた、野田秀樹の舞台そのものに違いないと思った(野田自身が台本を手直しし、演出もしている)。もちろん、歌舞伎の歴史というものが常に時代の新しいものを取り入れ発展してきたことは理解しているが、それにしても、これはまたあまりに思い切った挑戦だと感心した。
 そして、それは恐らく素晴らしいことなのだ。50年後、100年後に、これが未来の歌舞伎座で当たり前に上演される演目になっているとしたら、こんな愉快なことはないと思った。

 確かに、野田秀樹に特有なセリフの面白さとかテンポなどは、歌舞伎となったことでかなり削がれてしまったところはあっただろうと思う(実に思い切って野田風にやってはいたが)。しかし、ラストの耳男と夜長姫の絡みの美しさなどは、歌舞伎だからこそできる見事なシーンになっていたと思うし、いまこういうかたちで野田秀樹の舞台が甦る意義は大きなものがあると感じた。
 この戯曲を歌舞伎として上演するという話は、野田秀樹と親交のあった故中村勘三郎との間で相当早い段階から出ていたものらしい。それがいま、子どもの勘九郎(耳男)・七之助(夜長姫)を軸に実現したというのも素晴らしいことである。勘九郎はやや野田のセリフについて行けてないところがあるような気もしたが、七之助の夜長姫は終始見事だったと思った。女役だからこそ作れる微妙なニュアンスというものがあったように思う。
 ついでに付け加えておけば、市川染五郎のオオアマはやや線が細いように感じた。猿弥のマナコは雰囲気は合っているのだが、如何せんセリフのスピードが自分のものになっておらず、がなり立てるばかりで言葉としてほとんど聞き取れなかったのが残念だった。

 作品としての中身に踏み込んだ感想は書けそうにない。改めて野田の戯曲を読んでみたい気もするが、現役の頃ずっと縁がないまま来てしまったのだから、今さら読んでも仕方がないかとも思ってしまうのである。坂口安吾の「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」は読み直してみたが、なるほどこれをこんなふうに膨らませたのかと、野田の才能の凄さを感じたのは確かである。
 いまはインターネット経由で初演時の「贋作・桜の森」の映像を観ることも可能なようだが、それもまあいいかと思っている。当時リアルタイムで触れることができなかったという事実は変えられないのだから。
by krmtdir90 | 2017-08-17 18:30 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(0)
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