18→81


主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
最新の記事
最新のコメント
記事ランキング

それでもJR北海道を応援している

e0320083_11405165.jpg

 JR北海道に関して報道されているこの間の経過は、問題がとても一筋縄では解決できない根深さを持っていることを、日ごとに明らかにしていると思う。
 きのうも、北海道知事が国土交通大臣を訪問してJR北海道に対する監査と指導の強化を要請したというのだが、そんな上っ面な責任逃れのスタンドプレーで何とかなると思ってもらっては困るのである。

 旧国鉄を分割民営化するに際して、本州3社(東日本・東海・西日本)の経営は成り立つが、周辺3社(北海道・四国・九州)については非常に厳しいことが予測されていた。それでも、四国・九州は営業努力で何とかなる可能性があったが、北海道はどう転んでも大幅な赤字を回復することは出来ないと見られていた。
 実際、JR北海道は赤字路線を次々に切り捨て、旧国鉄時代の組合潰しを兼ねて社員数を大幅に縮小したが、依然として赤字体質は改善されず、現在も売り上げ780億に対して300億超の赤字を出しているのだという。ところが、その赤字分は、民営化の際に提供された経営安定化基金というものの運用益で賄われることになっていて、そこに鉄道建設運輸施設整備支援機構という名の独立行政法人が絡んで、国の特別会計から金が流れる仕組みが出来上がっているのだという。

 つまり、もともと民営化など成立しない地域の鉄道を切り離し、企業なのだから合理化も当然、組合潰しも当然なのだと方向付けたのが間違いだったのではないのか。赤字体質からの脱却がまず不可能な中で、それでも民間企業なのだから、赤字減らしのための経費切り詰めと労働強化は甘んじて受け、それでも鉄道員としての矜恃だけは持ち続けろと誰が言えるのだろう。
 民営化の方向そのものを全面否定するつもりはないが、鉄道の経営というものは、赤字路線だから切り捨てればいいという単純な考えを許すわけにいかない部分があるのではないか。JR九州のような、経営としてはかつかつというレベルまで来ていれば、何とか企業努力で、赤字ローカル線も含めて新しい地平を切り開こうという方向性も生まれてくるかもしれないが、JR北海道は最初から桁が違いすぎたのではないだろうか。

 過去に日本全国に張り巡らされ、民営化をきっかけにその多くが廃止されてしまった地方の鉄道網を、これから先もさらに縮小に追い詰めていっていいのかどうか。いま、民営化というかたちで最初から勝敗の見えていた不合理な合理化を推し進めた、国としての大きな責任が問われているのだと思う。今度こそ、国主導で大きな方向転換を行わない限り、新幹線の延伸だリニアだと騒ぐ一方で、それと引き替えにどれだけの旅情が失われることになるのか計り知れないのである。。
 東北新幹線が新青森まで達した時、盛岡・青森間はJRから切り離されてしまった。北陸新幹線が開通すると、長野・直江津・金沢間もJRから切り捨てられることが決まっている。北海道新幹線が新函館(現・渡島大野)まで通じた時には、その新函館・函館間はJRでなくなり、開通を待たずに江差線(木古内・江差間)の廃止も決まってしまったのである。札幌まで届くのはまだずっと先のことだが、その時は恐らく、新函館・長万部・小樽間もとても無事ではいられないだろう。

 これからの新幹線はトンネルだらけになると言われている。リニアに至っては、品川・名古屋間の何と9割がトンネルになるのだという。鉄道会社として、なにか大きな勘違いをしているような気がしてならない。
 地方の鉄道網を維持し、在来線を生かしていくような経営が、民営化された鉄道会社JRの一番の基盤になければおかしいのではないか。
 そのためにいま必要なのは、現在のJR6社体制を見直すことではないかと思う。少なくともJR北海道はJR東日本と合併させて、赤字経営からひとまず脱却できるようにするべきではないか。吸収されるかたちでも仕方がないだろう。赤字会社を抱え込む東日本にとって何のメリットもないように見えるが(事実、東日本は早々と北海道への資本注入はあり得ないと言明した)、それは目先のことに囚われた狭い了見と言うべきである。

 ずいぶん減ってしまったとは言え、まだ日本全国に残っている在来線の線路と鉄道施設は、そこを列車が走っている限り、素晴らしい可能性を秘めた観光資源であり、二度と作り替えることの出来ない文化財なのではないだろうか。
 赤字経営の会社を救済することの見返りに、JR東日本は北海道というこの上ない可能性の原石を手に入れることになるのではないか。東京近郊の採算路線と新幹線で黒字が約束された経営基盤を確保しつつ、リニアなどというバカげた計画にうつつを抜かすことをやめて、在来線の底知れぬ可能性に目を向けた経営に軸足を移し、腰を据えて取り組んでもらいたいと思う。
 ほんの一例を挙げれば、JR九州に影響されて東日本も豪華寝台列車を真似しようとしているらしいが、北海道が手に入れば、経営基盤がゼロに等しかったJR北海道には真似のしようもなかった同様の寝台列車が、もっと魅力的な様々なコースで、タイプも豪華からお手頃価格まで、もっと多様なかたちで可能になるのではないだろうか。

 鉄道会社の語る夢が、新幹線やリニアといった、スピードと時間短縮にしか目が向かないような姿になっているのが、そもそもおかしいことなのではないだろうか。そんなもののために、様々な夢を広げ得る可能性があった在来線を切り捨て、多くの鉄道財産をも捨て去ってきたことの愚に気付くべき時である。いまが、もしかするとその最後のチャンスのような気がするのである。

 歪んだ経営基盤に縛られたJR北海道の経営陣。2年前には、当時の社長が安全意識の向上を社員に促す遺書を残して自死する事件が起こっている。社長というトップの座にありながら、安全意識の向上を遺書のかたちでしか社員に訴えることが出来なかった歪み。
 相変わらず国庫からの補填頼みという体制矛盾の中で、民間企業の組合に脱皮することが出来なかった複数の労働組合。角突き合わせるばかりで、所属組織の如何など無関係なはずの技術継承や指示伝達がうまく行かない事態を放置し、本来社員みんなが持っていたはずのお客さまへの意識や鉄道への夢を、大きく束ねる力になって来れなかった歪み。。 
 安全第一もお客さま第一も、合理化の名の下に過去の遺産を軽視し、ソフト・ハード両面で営々と積み上げられた鉄道財産と平気で断絶して、金儲け第一で新しいものにしか目を向けなくなってしまった職場、夢を語れない職場に根付くはずはないのである。

 この間の経過の中で目につく、原因究明と再発防止をお題目のように唱え、最終的には管理強化と経営陣の交代だけで事足れり、ほどほどのところで事を納めようとしているように見える流れは認めることはできない。
 一方で、こんなことでは安心して乗れないとか、おまえらいいかげんにしろよなーなどと、感情的な反応だけを雰囲気に乗って垂れ流す風潮にも、仕方がない面があることは認めつつも、やはり認めることはできないと思うのである。そういう反応からは何の解決も生まれないだろう。 

 以前の記事に書いたことだが、7月に起こった函館本線・北斗14号のエンジン出火事故では、わたしは翌日の同じ列車で出火した4号車の座席を取っていて、危ないところで難は逃れたものの、翌日は札幌から函館に向かうスーパー北斗の自由席で、2時間以上も立ちっぱなしの苦労を味あわされることになったのである。
 先日、自動列車停車装置(ATS)が作動しない状態のまま何ヶ月も走行し続けていたことが判明した特急オホーツクにも、その期間中に何も知らずワクワクしながら乗っていたし、レール幅の異常が放置されていた多くの路線でも、この数ヶ月何度も列車に乗車していたのである。
 確かに、事故に巻き込まれる可能性はあった。もし事故に遭遇していれば、こんな悠長なことは言っていられないことは判っているが、それでもわたしはこれらのことについて、どうしても彼らを怒る気にはなれないのである。

 JR北海道の社員たちはいま、99パーセントが(あえて100パーセントとは言わないが)重い責任を感じているに違いない。組織や立場の如何、所属組合の如何に関わらず、何とかしなければと必死で考え、必死で行動しているだろうと思う。
 わたしは部外者の一旅行者に過ぎないから、それでも大好きなJR北海道に、これからもがんばってほしいと思うばかりなのである。北海道の鉄道旅の素晴らしさを、何とか守り広めていって欲しいと願うのである。
 JR北海道。それでも、応援しているぞ。

e0320083_11591886.jpg

by krmtdir90 | 2013-10-10 11:59 | 鉄道の旅 | Comments(8)
Commented by yassall at 2013-10-11 11:33
厳しい物言いながら愛を感じますね。
Commented by Mh at 2013-10-11 22:27 x
僕も応援してます。
Commented by natsu at 2013-10-12 07:53 x
厳しく書こうと思っていたのですがね、こういう状況では、応援する人間がいなくちゃ大変だろうな、と……。
Commented by こうた at 2013-10-25 01:59 x
仰られる通り、地方交通の意味をもう一度問い直す時期ですね!
Commented by natsu at 2013-10-25 10:20 x
コメントありがとうございます。
ローカル線を旅していると、こういう土地土地の旅情といったものを大切にして、黒字路線の収益力でカバーしつつ、全体としての営業努力でこれらの赤字を突破して行くような、視野を広げた会社経営の必要性を感じるのです。
これからも、みんなで見守っていきましょう。
Commented by きっさん at 2014-11-09 17:31 x
コメント時期として、多少ずれた時期のコメントとなりましたが、たまたま「JR北海道 応援」と検索して此方へ辿り着きました。
 私も大阪に住む「JR北海道応援団の一員」ですが、ここ大阪から当地北海道までは必ず列車で行きます。
 不祥事続きで揶揄される企業体質ばかりとらわれ、報道されていますが、JR西日本とて福知山線事故以来、今回のJR北海道と同じく「企業体質、経営体質」という呪縛が未だ解けていません。
 鉄道利用者も鉄道会社の社員も一様に「良くなってほしい、良くしたい」という気持ちを持っていると信じます。
Commented by natsu at 2014-11-09 20:43 x
コメントありがとうございます。
鉄道は全体がネットワークになっているのだから、JR各社は安全性の確保などで、北海道を特別視してしまうのではなく、全体として取り組んでいかなければおかしいと思っています。分割民営化で経営基盤が安定した東日本や東海などが、積極的に北海道を支援するような体制を取らなければまずいと思うのですが、現実は北海道だけが貧乏クジを引いたかたちで、一方的な非難にさらされているのは納得しがたいと思ったのです。
北海道を鉄道で旅する楽しさは特別なものがあり、JR北海道には何としてもがんばってもらいたいと思って書きました。
これからも、JR北海道を応援していることを発信していきましょう。

Commented by ryo at 2018-10-25 23:34 x
先人が北海道に苦労して敷いた軌条を何とか維持して欲しい。北海道を走る列車の車窓から見える景色を売り物にして欲しい。むしろ新型車両ではなく整備の行き届いた往年の車両を特別列車として運行させて欲しい。と願望ばかり膨らませてる自分はJR北海道を応援すると言いながら乗車もせず意見ばかり言っている。東室蘭から乗った普通列車の運転士さんの仕事ぶりには敬服しました。批判する前に乗車します。応援するということは利用するということ。各観光地と最寄り駅とのアクセスをどうとるか、バスでは不可能な広い空間をどうアピールするか、鉄道のメリットはまだあると思いたい。路線を吟味した特別列車の切符を先行発売するとか、企画を含め提案してみたい。北海道は広いからメンテナンスは大変なんすけどね。
<< 「氷平線」(桜木紫乃) 高校演劇・都大会出演校を観てきた >>


カテゴリ
以前の記事
画像一覧
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
メモ帳
ライフログ
検索
外部リンク
ファン
ブログジャンル