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西部B地区は加盟校数が多く、計14校が7校ずつ2日間で上演するその一日目の午後ということで、所沢北・所沢西・西武文理・入間向陽の4校の舞台を見せてもらった。 昨年の秋に審査員としてお邪魔した時、最後まで選考を悩まされた所沢北がどんな舞台を見せてくれるか、ちょっと期待していたところもあったのだが、今回は生徒創作の台本がまだまだ書けていないという感じで、面白いアイディアがあっても、それが役者の力で生きてくるところまで行かなかったように思った。 生徒創作としては、次の所沢西の舞台が面白かった。非常に面白かった、と言ってもいい。「Class Crash」という45分の作品だったが、生徒中心の活動でここまで作ったのだとすれば(西部Aと違って、わたしはこの地区の各校の状況をほとんど知らないので、このあたりについては推測になってしまう)、なかなかいいセンスでまとめられていたと思った。 しょうへいクンという、女の子のことばかり妄想している困った男子がちゃんと書けていて、彼のことを心配しながら見ている、ななこサンという幼馴染みの女子もちゃんと書けていて、まわりの登場人物についてもほぼ問題なく書けていた。ドルチェという魔女(?)の造形もよかった。台本のイメージがしっかりしているから、演じる役者たちも自然に伸び伸びと演じていて、見る方も無理なく最後まで付き合う気持ちになれた。生徒創作の舞台で、こういうことはそうあることではない。 しょうへいクンが、ななこサンのことを本当は好きだったという気持ちに気付いて、それをきちんと伝えようとするエンディング、緞帳を切るタイミングが絶妙だった。アッと思った。言葉にする寸前のところ、なかなかここでは切れないものだが、この潔さがよかった。役者の演技にも過剰なところがなく、好感が持ててあとに非常に爽やかな印象が残ったと思う。 さて、入間向陽の「センチメンタル・アマレット・ポジティブ」である。過去にわたしも、顧問として何回か取り組んだことのある台本で、これを向陽がどう料理して見せてくれるか楽しみにしていた。 結論を先に言えば、よくここまで「芝居としてのセンチ…」を見せてくれたなと思った。わたしの場合いつも、台本にあるセリフのやり取りの面白さを、どう生き生きと演じさせることができるかという方にばかり関心が向いてしまって、「センチ…」という芝居を台本全体としてどう捉えるかという視点が欠けていたのではないかと気付かされた。 と言うか、この「センチ…」という本は台本として見ると、高校生にきちんと理解させてやらせるのは非常に難しい台本だと思っていて、意識的にそういうことを回避してしまったところがあったのだと思った。向陽の舞台は、そういうずるい取り組み方はしていないのがよく判った。そんなの当たり前じゃないですかと言われてしまいそうだが、その通り。しかし、こういうちゃんとした既成台本に取り組む場合、これが案外難しいことなのは事実なのである。 ところでこの本、終始素舞台での芝居を想定しながら、最後のところで極めて難しい選択を作る側に迫ってくる。3人が飛び降りるところをどう作るか、である。向陽がやった実際に台の上から飛び降りさせるのは考えられる一つのやり方だが、これを選ぶと最後に3人は向こう向きになって台の死角に消えるしかなく、3人の表情が見えなくなってしまうのである。また、これだけの台を作るとどうしても奥に置いておくことになるから、ラストの3人の姿が客席から遠くなってしまうのも不満が残った。もちろんどんなやり方を選んでも一長一短があるから、これはこれでなかなか一概に言うことはできないとは思うが。 見終わった後、生徒の出した舞台成果を肴に、顧問と飲みながら話をしたいと思うような舞台はなかなかない。翌日の上演校のリハが入っているとかで実現しなかったが、だからと言ってここに全部書けるかというと、そういうものでもないなと書き始めてから思った。別に出し惜しみではない。県大会の舞台じゃないのだから、話してから書くというかたちでないとなかなか書きにくいものだと気付いたのである。 とりあえず、今回はここまで。中途半端な終わり方で申し訳ない。
by krmtdir90
| 2014-04-27 23:59
| 高校演劇、その他の演劇
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Comments(2)
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yassall at 2014-04-28 23:36
Koyo劇でリアルタイムに芝居作りに立ち会っているような気になっていると、私も見に行こうかな、行かなきゃいかんかな、と思わないではなかったです。natsuさんのセンチも今も印象深く記憶に残っています。そのnatsuさんにここまでいわせる出来だったとしたら、少々後悔に近いものがあります。うむ。
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natsu
at 2014-04-29 21:56
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きょうは比企地区の春大を見に行った帰りに、ちょっと顧問のmomさんと会って飲んできました。やはり、芝居のあとは飲んで語り合うことが大事だなと思いました。
当たり前のことですが、生徒とちゃんと向き合っている人と話していると、こちらの感想もまな板に乗っている感じがして、いろいろなことが判ってよかったです。
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