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*読んでくださる方、できれば①から順番に読んでくださると嬉しいのですが。
国道231号線は留萌と札幌を日本海沿いのルートで結んでいるが、全線が開通したのは1981(昭和56)年11月のことである。そして、映画「駅 STATION」が公開されたのが、奇しくもこれと同じ1981年11月のことだった。 映画は1968年の短いエピソード(直子)の後、主に1976年(すず子)から1979年(桐子)までの出来事を描いている。この中で、高倉健演じる三上刑事が故郷の雄冬(おふゆ)に帰るシーンがあるのだが、まだ道路の通じていなかった雄冬へは、増毛から出る小さな連絡船を利用していたのが印象的だった。暑寒別岳の山塊がそのまま海に迫り出したような雄冬岬の周辺は、断崖絶壁の連続でずっと陸の孤島のままだったのである。 実際に走ってみると、断崖の縁にトンネルなども連続し、荒々しい自然に阻まれた難工事だったことが想像された。いまも途中に工事区間などが何箇所かあって、開通後も落石や崩落、冬場の雪崩などで通行止めになることも多かったようだ。 雄冬には小さな集落が崖下に一列に並んでいたが、港の方はけっこう広く整備されていた。 道路沿いには眺めの素晴らしいところもたくさんあったが、車の停められるところはほとんどなく、運転しているわけだから、写真も一枚もないのである。 断崖を縫って行く厳しい区間をようやく抜け、風景に広がりが出てきた石狩市厚田というあたりで、国道沿いに夕日の丘パーキングというのがあったので、入って小休止した。すぐ下が、狭いながら海水浴場になっていた。 小樽の町並みに入ったのは午後2時半ぐらいだったと思う。最後に、小樽でどうしても行きたいところがあったのである。 フェリー乗り場を通り過ぎ、小樽運河の前も通過する。晴天の日曜日なので、運河や周辺の観光スポットは想像以上の人でごった返していた。こんなに人が出るのかと、少し驚いた。 中心市街地を抜けたあたりに小樽市総合博物館があった。名前に「鉄道」の文字が入っていないので見落としていたのだが、行ってみると想像していた以上に充実した施設で、恐らく日本でも有数の鉄道博物館なのではないかと思った(まあ、大宮の鉄博にもまだ行ったことがないので、本当は比較などはできないのだが)。 建物がちょうど逆光になってうまく写せていないので、建物の中のきっぷ売り場と改札口から。 館内に入ると、いきなり蒸気機関車「しづか」号というのが展示されている。 これも内部を見ることができ、実際にソファに腰掛けることもできるのである。 館内にあったのはこれだけだが、この博物館の見どころ(見せ場)は何と言っても屋外であろう。広い敷地いっぱいに、とても見切れないほどのバラエティーに富んだ展示車輌が並んでいた。 車輌だけではない。ここは元々、北海道の鉄道発祥の地と言われる旧手宮(てみや)駅の構内だった場所で、手宮駅時代の鉄道施設の一部が残されているのである。これらは国の重要文化財に指定されているらしい。 見事な煉瓦造りの機関車庫と転車台。 右にあるのが機関車庫三号。 転車台。 この写真で、転車台の右奥に置かれている黒い無骨な車輌はラッセル車である。 このラッセル車は実はこんなふうに2台並んでいたのであって、 機関車庫の中を順番に見て行くと、そこにもすごいものがいっぱい並んでいて、もう困ってしまってお手上げ状態になってしまった。 機関車庫三号、一番右から。 真ん中の口は空で、左側の口には蒸気機関車。 これは横の方に入って行けるようになっていて、 一つ一つゆっくり見始めたら、とても全部は回り切れそうになかった。後から考えると、それでもいいと考えた方が良かったような気もするが、その時はそういう気分にはなれなかったのである。 機関車庫三号と一号の間には、昔は当然二号が建っていたようだが、現在はなくなって野外に2台の大きな車輌が置かれていた。これらはいずれもジョルダン車と呼ばれる除雪車の一種らしい。 右側の1台のアップがこれ。側面に大きな羽根が付いているのが判る。 機関車庫一号の、扉が開いた右の2口には、マックレー車と、 ところで、わたしはいま館内の売店で帰りがけに買った博物館の公式ガイドブック(800円)を見ながらこの文章を書いているのだが、 まあ、それはそれとして、この機関車庫の左手の方にさっきから気になっていた駅のホームのようなところがあって、小さな蒸気機関車が小さな客車を3輌つないで停まっているのである。 わたしは恥ずかしいから、何となく周囲に展示された他の車輌(1966年製造のDD13と73年製造のDD16)などを撮影して、 この蒸気機関車アイアンホース号は、1909(明治42)年にアメリカのポーター社で製造されたもので、長らく中米グアテマラでバナナやパイナップルの輸送に使われた後、今度はアメリカのテーマパークなどでこれも長らく走った後、1996(平成8)年からこの小樽に移って運行を開始したのだという。 運行と言ってもたかだか200メートル足らず、時間にして数分のことなのだが、これの素晴らしいところはこの後にあったのである。 往復運行をしてくれるのだ。この意味が判るだろうか(鉄道ファンならみんな判るよね)。線路が円を描いて一周するというのではない。直線の線路を往復するのである。こんなところは日本中どこにもないのではないか。 乗客は一旦、客車からこちらのホームに降りる。線路に先にはちゃんと(これも本物の)転車台が付いているのだ。機関車が切り離され、ゆっくり転車台に乗っていく。 わたしは復路には乗車せず、沿線でアイアンホース号の勇姿を撮影した。だが、ここから先は写真がない。急に思い立って、初めて操作する(このカメラで)動画で撮ってみたのである。だが、どうやら動画はブログには載せられないらしい。 あとで見てみたら、初めてにしてはまあそれなりに撮れていたと思う。いまはこんなコンパクトカメラでもこういうことが出来てしまうのだと、いまさらながらに驚いたのである(むかし、重いビデオカメラを担いで撮影したベータや8ミリビデオ時代は何だったのだろうか)。 動画撮影を終えて、線路に沿ってぶらぶら戻って行った。途中にこんな石碑が建っていた。 だが、実はこんなところでのんびりしていてはいけなかったのである。アイアンホース号にはまだ続きがあったのだった。 最初の駅に戻ったアイアンホース号は、乗客を降ろしたあと切り離され、さっきの機関車庫の前にあった転車台に載せられていたのである。慌てて見に行くと、転車台は少しだけ角度を変え、さっきの機関車庫一号の一番左の口にアイアンホース号を入庫させているところだった。 再び動画で撮影したから写真はない。しかし、こんな場面まできっちり見せてもらえるとは思ってもいなかった。充実感と満足感でいっぱいになった。 家族連れはアイアンホース号乗車を最後に、ほとんど家路についたようだ。あたりはすっかり閑散としてしまった。だが、わたしはまだたくさん残っている展示車輌を、時間を気にしながら急ぎ足で見て回った。時間は全然足りなかった。 次の2輌は、いずれも1968(昭和43)年製造のディーゼル機関車、DE10と、 これらの機関車はうしろに様々な種類の貨車や客車を従えているのだが、とても一つ一つ見ている時間はなかった。ただ、このDD51の後方に黄色く小さく写っている車輌、これは小さいどころか非常に大きなものだったので、足を止めて見てしまった。 手前の白く塗られた貨車が長物車と呼ばれるチキ6000形、後方の黄色い車輌がソ34形という操重車(クレーン車)だという。 うーん、そうだったのか。もっとしっかり見てくればよかったと、また思わずにはいられなかった。 まだまだいろいろあったのだが、最後は泣く泣く切り上げるしかなかった。ここにいたのは2時間ぐらいだったと思う。最低でも半日は必要で、一気に見るのは疲れるから、何回かに分けて見られればそれがベストだろうと思った。 博物館の外観(日が陰って、帰りに写したのはまあまあなので載せておく)。 小樽港のフェリーターミナルは、小樽市街・小樽運河などを挟んで、総合博物館とは反対の方角になる。着いたのは午後5時を回っていたと思う。 食後の一服をして、埠頭の方を少し歩いて、 午後7時30分、らいらっくは小樽港を離れた。たくさんのカモメが船の周囲を舞っていた。 7月13日(月)、午前5時45分撮影。 家に帰って車のメーターを確認。総走行距離は1934キロ、新潟までの距離(往復で約670キロ)を引くと、北海道で走った距離は約1260キロだった。案外少なかったなと思った。 今回の旅日記、まとめるのにずいぶん時間がかかってしまいましたが、これでおしまいです。読んでくださった方、ありがとうございました。
by krmtdir90
| 2015-07-30 12:18
| 鉄道の旅
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