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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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高校演劇2015⑯今年も東大附属演劇部(2015.10.11)

 今年も東大附属(東京大学教育学部附属中等教育学校)演劇部の舞台を観に行ってきた。8月の地区大会を突破して、3年連続の都大会出場を決めた舞台だという。今回はYassallさんが所用で行けなくなってしまい、新座柳瀬の智くんと所沢西のN先生が同行者だった。

 舞台は、「就寝刑」という奇妙なタイトルの生徒創作台本だった。前2回は女子生徒による台本だったが、今回は男子生徒が書いたものということで、舞台の作りや芝居の印象がかなり変わっているのが楽しかった。
 いずれにせよ、毎年異なる作者が現れて、それぞれ個性的で高い水準の台本を供給しているというのは素晴らしいことである。恐らく、当初の台本としては様々な欠点や未熟さを抱えていたのかもしれないが、それを一つの舞台に作り上げていく過程で、この生徒集団の持つ知的な力と身体感覚といったものが加えられ、それがどの年も優れたレベルで維持されているのが大きいのだろうと思った。
 この演劇部が作り出す芝居の魅力は、作者やキャストの一部の力だけで成り立っているものではなく、集団全体が試行錯誤しながら、みんなで作り出したものだということが鮮明に伝わってくる舞台だと思った。

 いつも文化祭2日目の終わりの公演を観せてもらっているが、来るたびに観客数が増加していて、今年は客席がほぼ満席に近くなっていたのが嬉しいことだった。着実に存在感を高めていることが判り、そろそろ都大会を抜けて関東に歩を進めてもらいたいものだと思った(同時に、今年は残念ながら実現しなかった、6月の「コピスみよし高校演劇フェスティバル」へのゲスト出演も、何とか実現させたいものだと思った)。
 支配人・K先生が用意してくださった一等席で観せていただいた後、今年も簡単なコメントを言わされて帰ってきた。それに若干補足しながら感じたことを書いてみた。けっこう具体的な指摘になってしまったので、最初ここにそのまま載せるのはやめた方がいいかなとも思ったが、まあいいか、載せてしまうことにします。

 眠り続ける沖田ネムルの「謎」が、基本的に説明ゼリフで明かされるというのは仕方がない面もあるのかもしれないが、ドラマの軸となる「謎解き」なのだから、もう少し衝撃力を高める工夫があってもいいのではないかと思った。起き上がった沖田に何らかの鍵になるセリフ(他の人物とのやり取り)を振っておくとか、これまで舞台を構成してきた登場人物たちとの間に、それなりの関係性を作ってほしかった気もした。
 いずれにせよ、ここから後の展開が若干駆け足になってしまった印象があり、作られた対立構造がやや無理やりな感じを残してしまって、もう一つ説得力不足に感じられてしまったのは残念だった。台本として弱点のない生徒創作台本などまずないと思うが、それを感じさせずに押し切ってしまう最後の迫力(それを作り出す冷静な計算)も、もう一歩だったような気がした(観せてもらった回が、やや固くて出来がもう一つの回だったのかもしれないが)。

 上記のことに関わる具体的な指摘を幾つか。
 まず、眠り続ける沖田について。観客の9割方は沖田を男としてイメージしていたのではないか。起き上がった時、女だったことに違和感を感じたのはわたしだけではないと思う。適当な男子が見当たらなかったのかもしれないが、帰りに飲みながら話し合ったわれわれ3人の結論は、作者のYくんが眠りから立ち上がるべきだというものだった。
 次に、囚人の5人がマントを翻して立ち上がった時、沖田の「謎解き」に重要な役割を果たした看守・初野ユメの位置づけが、不明確なまま放置されてはいなかったかということがある。同様のマントを着けるべきかどうかは判らないが、5人にあれだけ鮮明な動きをさせるのであれば、それと一体になるにせよならないにせよ、彼女にも飛躍した鮮明な動きをさせてほしいと思った。
 マントを着けた5人の動きについて。まだまだ作戦が立てられる余地があると思った。動き方や静止の仕方(一種の見得だよね)など、もっと見せる工夫と練習が必要な気がした。せっかくやるのだから、観客をもっとスカッと押し切ってほしいと思った。

 キャストはみんな、とても魅力的だと思った。囚人の5人は、全体として個性的に良くできていたと思う。特に朝野メザメをやったHさんの豊かな表情と自然な間合いは見事だと思った。飯尾ヤスミのTさんと、アル中の男(役名がどっちだったか思い出せない)は、高校生としては難しいとは思うが、役としての崩れ感?がもう一歩という気がした。あと、何カ所かアドリブ芝居を入れていたところがあったが、違和感があり止めた方がいいと思った。
 看守と主任はやや線が細い気がした(特に主任)が、細いなりによくやっていて、決してマイナス要素にはなっていなかったと思う。むしろ、台本がこの2人をきちんと設定し切れていない面があるような気もした。
 白い衣裳の黒子?たち。セリフが幾つかあったが、少ないセリフだからこそ、くっきり丁寧に言葉にしてほしいと思った。道具の檻を移動させる時、重さがちゃんと感じられて良かった。

 帰りに、例によって新宿西口の蕎麦屋でお酒を飲みながら(智くんはジュース)、観てきた舞台をあれこれ語り合った。Yassallさんがいなかったのは残念だったが、楽しい一日だった。
by krmtdir90 | 2015-10-12 14:22 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(3)
Commented by at 2015-10-12 19:59 x
昨日はお疲れ様でした。
個性的な芝居で見応えがありました。あぁいうのが高校演劇の良い芝居というのは理解できるのですが・・・
それにしても、去年もそうでしたが、観た芝居にすぐに的確なことを言えるのは経験のなせる技だと痛感します。あの生徒に取り囲まれる状況には慣れません(--;)
また、お誘いください。
Commented by natsu at 2015-10-13 08:22 x
毎回、期待に応えてくれるのはすごいよね。
完全に生徒創作中心になっている東京では、創作する生徒も鍛えられているのかもしれない。まあ、これだけの舞台がそんなにあるとは思わないけれど。
わたしも顧問になってしばらくは、生徒を前にそれらしいことを言わなければならないのは苦手だった。でも、まあ、この年になれば、ね。
Commented by natsu at 2015-10-13 08:31 x
追伸。
このページを見に来ている東大附属のみなさんとK支配人へ。
上の「智」くんのページも開いてみてください。あの舞台について、とても的確で具体的な提案などが書かれています。
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