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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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煙草の話

煙草の話_e0320083_174813100.jpg
 煙草はずっと「キャビン・ワン(CABIN 1)」だった。夏の初めごろ、中身や値段は変わらず名前だけが変わることになったというキャンペーンが始まった。「ウィンストン・キャビン(Winston CABIN)」というのが新しい名前だという。
 デザインは前のままの過渡期のパッケージ(写真左)が用意され、数ヶ月が経過したところで、今月になって新しいパッケージ(写真右)にめでたく?移行した。Winstonの文字が大きく表示され、CABINの文字はずっと小さなものになってしまった。こうなってみると、「キャビン(CABIN)」だけの元のパッケージを記録しておかなかったのは残念だが、まあ仕方がない。
 新しいパッケージのデザインはあまりいいとは思わないが、こういうものは慣れてしまえばどうでもよくなってしまうものなのだろうか。

 夏ごろから、ちょっといろいろ不調が出ているところを検査をしてもらうため、幾つかの医者を訪ね歩いているのだが、どこに行っても必ず煙草はやめなさいと言われてしまう。わたしが吸っているのは、タール1mg、ニコチン0.1mgという、発売されている中では最も軽い煙草であって、それも1日6~7本程度だから、やめようと思えばいつでもやめられる自信はあるが、健康のためという理由付けがどうにも納得できない感じがして、やめる気になれないまま現在に至っている。
 今年、2度の外国旅行に出掛けたが、比較的値段が高くて高齢者が中心になるこうしたツアーでは、2度とも喫煙者はわたし一人だった。これまで、国内のツアー旅行などではたいてい仲間がいたのだが、一人だけとなるとけっこう気分が滅入る感じがした。外国などにどんどん出掛けて行くアクティブな老人というのは、みんな煙草なんか吸わない健康的な毎日を送っているということなのだろうか。
 まあ、ここまで来たら、もうやめてもやめなくても健康に大した影響があるとも思えないということである。お酒も同様なことだと思っている。

 煙草を吸い始めたのは大学生になってからだが、初めて吸った銘柄が何だったかはもう覚えていない。たぶん、ハイライトかセブンスターあたりだったろうと思う。就職して教員になって、当時は職員室だろうが会議室だろうが吸い放題で、くわえ煙草で生徒と話をするなんていうのも別に気にすることではなかった。いまではとても考えられないことだが、そういう時代だったのである。
 1日に一箱の見当だっただろうか、いろんな銘柄を渡り歩いたが、何となくたどり着いたのが赤いパッケージが印象的な「キャビン」だった。当時は1mg・0.1mgなどという軟弱な煙草は発売されておらず、何mgだったかは覚えていないが、まあそれなりのものを吸っていたのである。
 S高校からT高校に移り、バケツ型の灰皿をぶらさげて部活を見に行ったら、「先生、それはやめてください」と言われたのを覚えている。当然である。

 しばらくして禁煙をした。20年ぐらい吸い続けてきたのだから、これはかなりの大英断と言って良かったかもしれない。だが、実のところそんなに必死の覚悟があったわけではない。
 学校を早退して、新宿あたりで映画館の「はしご」をしていた時だったと思う。学校を出る時から食事をして映画館を渡り歩く時まで、上映時間の組み合わせの関係で全く隙間のないスケジュールになってしまったのだと思う。夜になって、帰る頃になって、ずいぶん長い時間吸っていないなと気付いたのである。その時、何となく、どのくらい吸わずにいられるか試してみようという気分になってしまった。家に帰ってもなるべく隙間を作らないようにして、いつものように軽く飲んでさっさと寝てしまった。
 翌朝になると、朝の慌ただしさの中で、何となく「記録」が続いていることが面白く、24時間を超えるあたりからは、せっかくだから行けるところまで行ってみようという積極的な気分が生まれていた。ガムを咬んだり飴を舐めたりということはしたが、いつでも吸えるように煙草の箱は相変わらず持ち歩いていた。

 結局、特段悲壮な決意があったわけでもないのに、禁煙はあっさり成功してしまった。ただ、健康のためを考えて撤退したのだとは思いたくなかった。実際、そういうことは全く考えていたわけではないのだから、これは事実として、ちょっと禁煙をやってみただけだったのである。
 ただ、48時間・72時間と経過するあたりで、黒板に書くチョークを持つ手が震えるのには閉口した。数日間、ほとんど板書をしない授業になっていたと思う。
 時代は嫌煙権だの何だの、喫煙は迷惑行為であり、他人を巻き込む罪悪であるといった風潮が蔓延して、喫煙者には非常に住みにくい状況が生まれ始めていた。結果的に時流に乗ってしまうことになったが、わたしは決して裏切り者だったわけではない。

 この禁煙は10年ほど続いた。その間にわたしはN高校に移り、そこで数年が経過するうちに、再び煙草の誘惑を受け入れることになってしまったのである。N高校はけっこう大変な学校で、でもわたしはそういうことで弱音を吐くのはいやだったので、結果的に転勤希望も出さずに退職まで13年勤めたのだから、この程度の書き方は許してもらえると思っているが、やはりけっこうストレスは溜まっていたのだと思う。
 国語科の小部屋で、他に人がいない時に密かに一本吸ってしまった。この時の何とも言い難いクラクラ感?というものは忘れられない。ああ、これが煙草というものなのかと初めて分かった気がした。考えてみると、初めて煙草を吸った時というのは、むせたり咳き込んだりでそれどころではなかったはずで、煙草の持つ魅惑とでもいうものは、この二度目の始まりの時にようやく感じることができるものなのかもしれないと思った。

 このクラクラは一週間ぐらい続いた。だが、それを過ぎるともう二度と感じることはできなくなってしまった。
 それにしても、再び煙草に手を出す時に、最後に吸っていた「CABIN」を選んでしまったのはどういうことだったのだろう。昔つき合っていた相手とよりを戻すというような感覚が働いていたのだろうか。よくわからない。
 結局、「CABIN」の中でも一番軽い「CABIN 1」に落ち着いたのだが、それ以来もう15年近い月日が流れてしまった。今度のつき合いはそれほど深いものにはならなかったが(一番軽いのを1日6~7本なのだから)、それでもこんなに続いてしまうとは思っていなかった。名前や見た目が変わってしまうのは残念だが、いまさら他に乗り換えたり、関係を絶ってしまうことは考えられないことだと思うのである。

 ここまで書き終えて、つい一本に手が出てしまうのは一区切りという一種の「けじめ」である。こいつを吸い終わってからアップすることにしよう。
by krmtdir90 | 2015-10-25 17:57 | 日常、その他 | Comments(0)
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