人気ブログランキング | 話題のタグを見る

18→81


主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新の記事
最新のコメント
記事ランキング

「百歳までの読書術」(津野海太郎)

「百歳までの読書術」(津野海太郎)_e0320083_17315354.jpg
 ブログを始めて良かったと思うことはたくさんある。だが、最近これはちょっとあまり良くないなと思うことも出てきた。
 ブログには旅とか読書とか、いろんなことを記録しておく要素があると思うのだが、その作業にけっこう時間がかかってしまうのだ。これはたぶん個人差がかなり大きいもので、書いたりまとめたりという作業のスピードが速い人、そういうことをてきぱきと要領良くこなせる人もいるのかもしれないが、わたしはそうではないことが日を経るにしたがって明らかになってきたのだ(現役の頃は、仕事はけっこう早い方だと思っていたのだが)。

 たとえば、この前載せた「生きて帰ってきた男」や「居酒屋の戦後史」「戦後入門」などの感想文は、いずれも完全な一日がかりで書いたものである。途中立ち止まっていろいろ考えたり、あれこれ調べたりしているうちに、時間はあっという間に経過してしまった。そういう時間はわたしにとってどちらかと言えば楽しい時間なので、ブログを始めた頃と比べるとどんどん長くなっている感じなのである。
 そういう時間は決して無駄とは思わないが、もっとスピード感を持ってササッと終わらせるようにしないと、もともと書くのは遅い方なので、そろそろ考えなくてはまずいかもしれないと思ったのである。そう思わせられるきっかけを作ったのがこの本ということになる。

 著者は1938年生まれというから、もう70も半ばを超えている人である。この人は冒頭で、70代は「まぎれもない老年」であって、「そのあたりから体力・気力・記憶力がすさまじい速度でおとろえはじめ、本物の、それこそハンパじゃない老年が向こうからバンバン押しよせてくる」と書いている。60代というのは「ホンの短い過渡期」にすぎないとも。
 この本は、その「まぎれもない老年」の読書がどんなものなのか、どんなふうに行われているのかといったことについて、著者自身の日常や有名作家の晩年などを行き来して、まあ何と言うか、かなり開き直った(楽しい)エッセイ集なのだが、その70代までもうあと少しになってしまったわたしとしては、冒頭の一節(その断定)が思った以上にショックで、以後あまり心穏やかに読むことができなくなってしまったのである。

 わたしの身体に起こっている変調は、もしかするとまだほんの序の口にすぎないのかもしれない、これからどんどんいろいろな不具合が押し寄せてくるのかもしれないという、認めたくない部分をズバリ指摘されてしまった感じがあって、その認識をこれからはいろんなことの出発点にするしかないのだと、不本意ながら納得させられることになったのである。
 だとするとどういうことになるか。一日がかりで読書の記録をするのは、たぶんもうまずいことなのではないか。それよりも、その時間で次の本を読み始めた方がいいのではないか。読みたい本はまだ次から次へと出てくるのだから。
 記録することは無駄ではないが、要領良く済ませなければ本末転倒になってしまう。何しろ、老年というのはいつまで読めるか判らない状態の始まりだからである。

 これは焦りではない。焦ったところで、何がどうなるかは誰にも判らないのである。ただ、ついこのあいだまで身体の変調など考えもしなかったのに、それは確かにわたしのところにやって来てしまった。それなら、記録するより読んだ方がいいではないか。
 もちろん、読んだあとで感想を記録しておきたいという本はあるのだから、これは二者択一の問題ではない。あくまで感想はほどほどに、あるいはできるだけ簡単に書いておけばいいのではないかと思ったのである。根がダラダラした人間だから、できるかどうか判らないけどね。
by krmtdir90 | 2016-01-15 17:32 | | Comments(2)
Commented by yassall at 2016-01-16 00:09
natsuさんの読書録はいつも感心しながら(ときに圧倒されながら)読ませてもらっています。本選びの嗅覚が抜きんでているし、とくに小説読みについては「どうしてこんなふうに読めるのだろう、書けるのだろう」と、ただただ感服させられるばかりです。そう弱気にならず、これからもハッとさせられる文章を書いて下さい。若い時分は読みっぱなしでも平気でしたが、近年は記憶力の減退はなはだしく、記憶と思考の定着のためにも書くことは力になっていると思っています。in putとout putとのバランスは大切だとも考えています。とはいえ、私もブログのアップに1日がかりというのはしょっちゅうで、暮れの読書録には2日がかりでした。簡潔にまとめる技の修得が必要なのは確かですね。
Commented by natsu at 2016-01-16 17:30 x
Yassallさん、ありがとうございます。
弱気になっているつもりはないのですが、こんなふうに言っていただけると、時には一日がかりも必要かなと考えてしまいます。ただ、簡潔にまとめる技の習得というのが当面の課題であるのは確かで、そのあたりはやはり心がけて行こうと思っています。これからもよろしくお願いします。
<< 「色彩を持たない多崎つくると、... 「生きて帰ってきた男-ある日本... >>


カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 08月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
画像一覧
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
外部リンク
ファン
ブログジャンル