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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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コピスみよし2016第15回高校演劇フェスティバル6・感想③

 ここで、コピス恒例となった階段パフォーマンスについても触れておくことにする。コピスの特徴であるロビー正面の大階段を使って、昼休みに何か面白いことができないかということで始まったものだが、今年は川越西高と農大三高が担当した。
 女子アイドルグループ(川西)の内輪もめ?と歌、それを取り巻くファン(農三)のやり取りといった内容で、なかなか楽しいものに仕上がっていたと思う。アイドルの彼女たちが歌い踊ったのが何とおニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」で(調べてみたら1985年の曲で、もちろんいまの生徒たちは生まれてもいない)、指導した(たぶん)川西顧問のUさんの影がちらついて、これは彼女の作戦勝ちだと思った。生徒たちはセーラー服姿で嬉しそうにやっていたが、まだ若干照れが残っている感じがしたのが残念だった。リハーサルの日の最終練習に、家庭の事情でUさんが来られなかったのも響いていたかもしれない。
 一方、ファンをやった農三の方は思い切りが良く、昨年彼らがこの階段でやったヒーローショーの時(かなり恥ずかしがっていた)と比べて明らかに一皮剥けた印象があった。「もしイタ」に取り組んだことが彼らの自信につながっている気がした。

坂戸高校「報道センター123」(迦陵頻伽)

 作者名は何と読むのだろうか。山口県の高校がやった台本らしいが、地域性はないので、どこの学校がやってもそういう意味ではまったく問題はないだろうと思う。だが、送られてきた台本を読んだ時、わたしは「なんだこりゃ」と呆気にとられてしまった。台本として決していい台本だとは思えなかったのである。
 高校を舞台にした話には違いないのだが、設定そのものがあまりにも荒唐無稽で、マンガのようなハチャメチャな展開にも付いていくのが難しかった。わたしはテーマ主義者でもないし、荒唐無稽やハチャメチャを一概に悪いとも思っていないつもりだが、この本はいったい何をやりたいのかがよく理解できなかったのである。

 部員が3人しかいないある高校の報道部(そういう部活があるのだ)が、毎日昼休みに、校内のスタジオから「報道センター123」というワイドショーのような番組を、全校に向けてテレビ放送しているという設定になっている。いくら何でもテレビ放送(しかも毎日ナマ放送なのだ)はあり得ないだろうと言ってみても仕方がない。マンガならそんな設定もアリかもしれないし、食堂のメニュー削減にかかわる洋食派と和食派の対立(学食戦争、テロ勃発)とか、新任のイケメン教師によるテニス部のセクハラ疑惑とか、何でもアリのストーリー展開に一々目くじら立てても大人げないということなのだろう。
 セクハラ疑惑は誤報だったことが判り、後半に報道の姿勢とか倫理とかいったことについてチラッと考えるようなセリフなども挟み込まれるが、そんなことを言いたかったというふうにはとても思えない展開なのである。となると、要するにこの突飛な設定の中で右往左往する登場人物たちを、単純に笑い飛ばしていればいいということになるのかもしれない。
 そういう台本なのだと思ってしまえば、あとはこれをどう料理して見せてくれるかという問題しか残らない。どんな感じになるのかはだいたい想像はできたが、そう簡単にやり切れるとはとても思えなかった。

 だが、坂戸の生徒たちはこれを、もうこの上はないというほど見事にやり切ってしまった。終始ハイテンションのパワフルな演技で、60分を一気に走り切ってしまったのである。戯画化された登場人物たちも、有無を言わせないパワーで客席を納得させてしまった感じだった。
 去年の舞台「0~ここがわったーぬ愛島~」もそうだったが、わたしはこういう作りの舞台は苦手なのだ(好きではない)と言ってみても、そんなものは吹き飛ばしてしまうような力を、この演劇部は手にしていると思った。こうなると、それは一種の清々しさと言ってもいいかもしれない。わたしはこの台本を全然買わないけれど、この舞台を前にしてこれもアリだと言われれば認めるしかないような気がした。こういうのを面白いと言う人も確かにいるのだ。

 こんなわけだから、この学校についてはあまり言いたいことが見つからない。ただ、舞台上の道具の配置についてちょっと。下手寄りの割と高い台上に設定した放送スタジオは、いくら何でも狭すぎたと思う。スタジオエリアはもう少し広く取って、その中でテレビ画面に映し出されるセット部分だけ一段高くするとか、工夫の仕方はもっとあっただろうと思った。

新座柳瀬高校「Angel in Broadway!=SEQUEL“The First and Last Romance!”」(稲葉智己)

 新座柳瀬はこのところ、ずっと高校演劇らしからぬ(まるで宝塚を思わせる)個性的な顧問創作の舞台作りを続けている学校である。確かに高校演劇としては異端なのだが、生徒たちもそれを信じて楽しそうに芝居作りに取り組んでいるのだから、高校生らしくないなどと評するのではなく、こういうのもアリなのだと積極的に受け入れていく姿勢が高校演劇の側に必要ではないかと思っている。

 柳瀬の舞台を見ていていつも感心するのは、キャストの生徒たちがみんな観客の耳に心地よいきれいな発声をしてくれることである。毎年生徒が入れ替わっている中で、この点で常に変わらない水準を維持しているのは素晴らしいことである。この発声があるから、ほとんどセリフのやり取りだけで終始する柳瀬の舞台が、観客としても苦痛にならずに見ていられるのだと思う。
 ただし、今年の舞台については少し問題点なども指摘しておかなければならないと思う。
 最近のコピスでは、柳瀬は朝コミの春大で上演した舞台の「続編」というかたちで、連続するが新たな一本を短期間で用意して上演する試みを続けている。こんな短期間で一本を完成させてしまうことにわたしはいつも驚かされているが、このことから来る問題点が今回の舞台には幾つか出てしまったと思うので、そのことについて少し書いておきたい。

 この前後編というやり方に初めて挑戦したのは「オズの魔法使い」を題材とした「D Lover!」からだったが、こういう内容の芝居(お子様向けの芝居と言っては語弊があるかもしれないが)なら短期間で仕上げてもさして不満は感じなかったのだが、翌年の「Eliza!」から昨年の「Ernest!」そして今年の舞台と、原作に大人のドラマを選ぶようになってからは、やはり練習不足なのではないか(作りが甘いのではないか)と感じる点が出てきているのである。
 どんな舞台作りをするとしても(男役を女子がやるという前提?の柳瀬のような場合でも)、大人のドラマを作るというのは、高校演劇にとってはかなり「無謀な挑戦」として意識する必要があると思っている。やる以上はそれなりの時間をかけて、そのことを丁寧に押さえていく必要があるだろうと思うのである。

 ましてや今回の台本は、ブロードウェイで名うてのギャンブラーとお堅い救世軍の女軍曹の恋という、もちろん素材としては面白い素材なのだが、それぞれ一人前の大人である2人が、これまで生きてきた人生とは正反対の相手に恋をしてしまうという話なのだから、そのあたりをしっかりとした大人の感覚で跡付けてやる必要があったのではないか。
 申し訳ないが、今回の柳瀬の舞台はわたしにはひどく子どもっぽいものにしか見えなかった。スカイもサラも、がんばってやっているのはよく判ったが、それぞれ役の年齢に相応の存在感は作れていなかったし、恋に関する細かいニュアンスも作れていなかったと思う。時間をかけることでどこまでできるかは判らないが、少なくとも大人のドラマに取り組む高校生としては、そこに賭けてみるしか方法はなかったと思う。

 いつものように舞台美術へのこだわりは今年も感じたが、今回はこの点でも時間不足だったと思われる不満が残った。上手のバーカウンターは使い回しだったと思うが、常にカウンターを背にして(つまり客席に向くためにカウンターと逆向きになって)会話するのは不自然だし、コピスの舞台を考えれば、バーのエリアも救世軍のエリアももう少し広くして、(パネルを立てる必要はないとしても)何らかのそれらしい工夫が欲しかった気がした。
 背景の摩天楼のシルエットは、力作ではあるがあまり効果的とは言えない気がした。舞台全体の雰囲気作りに重要な要素になっていると思うが、窓明かりの点滅がうるさかったし、それならもう少し克明な輪郭のシルエットだけにして、いつもそこに存在させておくというだけでも良かったかもしれないと思った。いずれにしても、大道具にも新たな対応が必要になるのであれば、これもまた(作り直しや修正のために使える)それなりの時間が確保されなければまずいだろうと思った。

 Mさんのコピスに賭ける熱い思いは伝わってきたが、今回は残念ながら若干空回りが目立ったような気がした。以前にやっていた不思議の国のアリス、白雪姫、オズの魔法使いといった童話を素材とした台本も、書く選択肢としては常に持っていた方がいいのではないかと感じる。もちろん最後は完全オリジナルが理想ではあるのだろうが。
 今回はかなり辛口になってしまったが、柳瀬のやっている芝居作りのユニークさは失ってほしくないし、次作に期待ということで終わりにしておくことにする。
by krmtdir90 | 2016-06-18 17:25 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(2)
Commented by at 2016-06-20 11:27 x
感想ありがとうございます。
厳しい指摘を頂けるのはありがたいことだと思います。

色々と難しさを感じていますが、
色々な可能性を考えていきたいと思います。
Commented by krmtdir90 at 2016-06-21 12:56
いつも大したことは書けないけれど、少しでも参考になればと思って書きました。
これからも皆さんの活躍を期待しています。
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