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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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北海道の鉄路を守るために

 スマートフォンでヤフーのニュースをチェックしていたら、「JR北16区間『維持困難』か」というショッキングな見出しにぶつかった。北海道新聞が本日(30日)7時に配信したものらしい。見出しはさらに「JR、地元と協議目指す/鉄道事業見直し表明」と続いている。記事の頭の部分を少し書き抜いてみる。

 JR北海道の島田修社長は29日、記者会見を開き、鉄道事業を抜本的に見直す方針を正式に表明した。秋までに「JR単独では維持困難な線区」を公表し、地元自治体との協議に入りたい考えだ。JRは具体名を明らかにしていないが、厳しい経営状況を踏まえて輸送密度二千人未満の線区を対象にするとみられ、この場合、宗谷線や根室線富良野-新得間など11路線16区間が該当する。JRは今回の提案を、国鉄分割民営化で会社が発足して以来の改革と位置付けており、道内鉄道網の見直しが一気に進む可能性もある。

 記事には「JR北海道の路線と輸送密度(2014年度)」という地図がついていて、輸送密度(1キロ当たりの1日平均輸送人員)500人未満の路線は赤で、500人以上2000人未満の路線は点線で描かれている。
 確認しておくと、赤の路線(区間)は次の通り。宗谷本線(名寄-稚内間)、根室本線(滝川-富良野-新得間、釧路-根室間)、釧網本線(全区間)、留萌本線(全区間)、札沼線(北海道医療大学-新十津川間)、日高本線(全区間)、石勝線(新夕張-夕張間)。
 また、点線の路線(区間)は次のようになっている。宗谷本線(旭川-名寄間)、石北本線(全区間)、富良野線(全区間)、室蘭本線(苫小牧-岩見沢間)、函館本線(長万部-小樽間)。

 今さら驚くには当たらないと言えなくもないが、ここまで具体的な提案がなされた以上、この流れを何とかくい止める動きを作らないと、それこそ取り返しのつかないことになってしまうと思った。
 JR北海道が抱える問題については、このブログでも過去に何回か取り上げてはきた。しかし、分割民営化が国の施策として行われたものである以上、それから30年も経過しているのだから、当初から予測された(北海道は単独では無理だという)矛盾が一向に改善されない状況に対して、国(政治)が見直しに動かないのはおかしいのではないだろうか。一番いい地域を取ったJR東海が、その黒字をリニアというような問題だらけの計画に蕩尽しようとしているのに対し、政府が何兆もの国税を財政投融資のかたちでつぎ込んで後押しすると決めたのが数日前のことだった。
 地方創生などとお題目だけは言うものの、やっていることは「選択と集中(地方切り捨てと東京一極集中)」の後押しだけではないか。JR北海道の提案は、北海道における札幌一極集中を劇的に前進させることになってしまうだろう。

 発足当初から経営が成り立たないのは判っていたのに、抜本的な対策がなされないまま30年も放置されたのである。経営安定基金で国の補助を入れるというのは、暫定的措置としてはいいかもしれないが、曲がりなりにも「民間会社」となった以上、JR北海道の側に立てば、先の見えない赤字体質は最早限界に来たということなのだろう。経済的な観点から考えれば赤字路線は切り捨てるのが当然だし、今回の提案は異の唱えようのない正論なのである。
 それはリニアの開業(前倒し)を経済対策としてしか考えない立場と同じだろう。リニアが日本の鉄道網の異端であることを考えようとしない愚かさは論外だが、貴重な在来線の鉄路を経済対策として廃止してしまう愚かさを、もっとみんなが考えてみなければまずいのではないだろうか。
 対象に挙げられた路線は、どれも他の地方では見ることのできない、北海道の最も北海道らしい貴重な鉄路なのである。世界遺産だ何だとうつつを抜かすのもいいけれど、先人たちの残したこんな素晴らしい遺産(観光資源)を守るために、なぜ貴重な国税を(あるいはJR東海の黒字を)つぎ込もうという発想が出て来ないのだろうか。

 書き始めると、言いたいことが次々と出て来て収拾がつかなくなってしまいそうなので、きょうのところはこのくらいにしておく。ただ最後に、民営化の方向は正しかったのかもしれないが、分割は失敗だったことに国(政治)はきちんと責任を取らなければおかしいということは言っておきたい。たとえば在来線は1~2社に統合し、一方でJR新幹線を独立させて、その黒字の何割かを(半分以上を)在来線会社に回すことを(国の鉄道政策として)決定するというような、とにかく抜本的な改革を行う時期が来ていると思う。そうしなければ、只見線や三江線といった北海道以外の素晴らしい路線も、この先どうなるかはまったく予断を許さないのである。
 現在のJR北海道にはその体力がないのかもしれないが、いま流行の様々な観光列車や寝台列車を一番走らせたいのは北海道の鉄路ではないだろうか。外国人をどんどん呼び込もうとしている観光立国・日本にとって、全国の、特に北海道に残された鉄路は絶対に失ってはならない資源ではないだろうか。まだ遅くはない。目先の経済論理だけで断じてしまう愚を、何とか未来に向けて繋いでいくプランに変えなければならない。
by krmtdir90 | 2016-07-30 21:05 | 鉄道の旅 | Comments(2)
Commented by Mh at 2016-08-05 23:51 x
今週、函館、洞爺、釧路と旅してきました。
いつも感じるのが、道内の移動効率の悪さと言うか、道南、道央、道東、道北跨いで旅しにくいのがネックな気がしています。
都市間を5時間くらいの夜行で繋いで、到着先でゆっくり10時チェックアウトくらいできるような仕組みがあれば、ツーリストサイドとしては効率いいんですが。
Commented by natsu at 2016-08-06 22:13 x
JR北海道の経営状態がせめて九州並みならナァ。
いま道内に夜行列車を復活させるというのはすごく面白いし、ダイヤ設定をうまくやれば需要も必ずあると思う。新幹線が函館止まりのいまなら、その先、函館本線を走らせて小樽・札幌・旭川行き。思い切って稚内行きにしてくれたら絶対乗るね。サンライズみたいに旭川で切り離して一方は遠軽・網走行きか。そして、もう一つは室蘭本線から石勝線経由で釧路行き。もちろん根室まで行ってくれれば最高だね。豪華寝台列車じゃなく、誰でも乗れるようなものならみんな絶対使うよね。
新幹線やリニアばかりでなく、そういう夢のある鉄道であってほしいよね。
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