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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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北海道の駅がなくなってしまう

 JR北海道が来春のダイヤ改正に合わせ、1日の乗降客が1人以下の46駅を廃止する方向で沿線自治体に打診を始めたことが報じられている。とうとう来たかという感じである。
 沿線の利用客がいなくなってしまったのであれば、その駅が廃止されるのは当然であり、仕方がないことだと思う。それでなくともJR北海道の経営は火の車なのだし、この夏の台風被害の復旧にさらに費用がかかることも判っている。
 だから、これから書くことは一鉄道ファンのわがままであり、現実を見ようとしない繰り言と一笑されてしまうかもしれない。そうであっても、言わずにはおれない気持ちをどうすることもできないのである。

 読売新聞のページに46駅の一覧が載っている。眺めていると胸締め付けられる思いがあるが、とにかくその該当駅を書き抜いてみたい。
*函館本線‥‥東山、姫川、桂川、伊納。
*千歳線‥‥美々。
*札沼線‥‥豊ヶ岡、鶴沼、於札内、南下徳富、下徳富。
*根室本線‥‥島ノ下、東鹿越、羽帯、稲士別、上厚内、尺別、初田牛。
*石北本線‥‥生野。
*釧網本線‥‥南斜里、南弟子屈、五十石、細岡。
*宗谷本線‥‥北比布、塩狩、北剣淵、日進、北星、南美深、紋穂内、豊清水、天塩川温泉、筬島、歌内、糠南、雄信内、安牛、南幌延、上幌延、下沼。
*日高本線‥‥鵜苫、西様似。
*留萌本線‥‥北一已、真布、峠下、幌糠、藤山。

 ほとんどの駅の姿が浮かんでくるのが辛い。JR北海道は今年の3月、石北本線の上白滝を始めとする8駅を廃止しており、12月には留萌本線の留萌・増毛間が廃止されることも決まっている。46駅の次にはいよいよ路線そのものの廃止が現実味を帯びてくることだろう。
 経済の論理の前では、この流れに棹さすことはほとんど不可能に思える。しかし、こうして経済一辺倒になってしまったいまの時代風潮に対して、そろそろ立ち止まってみた方がいいのではないだろうかと言いたい気がする。北海道の鉄道線路と駅は、開拓の時代の貴重な歴史遺産であり文化遺産であるという視点が必要になっていると思う。
 いまでこそ車掌車再利用のダルマ駅舎になってしまった駅にも、かつてはみんな立派な木造駅舎が建っていたのである。駅員や保線の人たちがいて、次々に多くの列車が発着し、駅の周囲にはたくさんの人々の生活が営まれていたのである。いまはすっかり何もなくなってしまったが、そこに立ってそうしたことを思うことに意味がないとは思えない。46駅の中には、当時からの木造駅舎が立派に残り続けている駅も含まれているのである(姫川、塩狩、雄信内、峠下など。上白滝もそうだった)。人々がいなくなってしまった後に、駅舎だけが厳しい風雪に耐えて残っていることは、それだけで(失ってはいけない)素晴らしい遺産なのではないだろうか。

 日本人は世界遺産などと言って大騒ぎするくせに、観光に直接結びつかない遺産にはきわめて冷淡ではないだろうか。しかも重要なことは、これらはまだ過去の遺産になったわけではないということである。流れは止められないからと言って、残った廃線跡などを整備して観光客を集めるといった貧しい発想はやめてもらいたいと思う。
 生き延びさせることで生まれる観光の可能性というのは本当にないのだろうか。
 もちろん少々の観光でJR北海道の赤字体質がどうにかなるなどとは考えていない。そこは国や北海道が根本的に考えなければならない問題である。しかし、JR北海道もいまこそ、廃駅や廃線を言い出す前に、北海道の鉄道線路や駅などの持つ大きな歴史的意義と可能性について、夢を語るべき時なのではないかと思っている。赤字なのに何を言っているのかと言われるかもしれない。しかし、北海道で鉄道に関わっている鉄道員(ぽっぽや)として、開拓時代の歴史遺産を守り生かしていくことを提起するのは少しもおかしなことではないはずである。

 JR九州が先鞭を付けた様々な観光列車を、いま一番走らせてもらいたいのはJR北海道ではないだろうか。車輌の改修費用がないことは判っている。だが、豪華である必要はまったくないのである。いまあるキハ40にほんの少し手を加えるだけでいい。廃止しようとしている駅舎を訪ねたり、宗谷本線の魅力に触れる臨時列車を走らせるとか、何の工夫もしないで廃止を言うだけなら誰も応援しようとは思わないだろう。JR北海道はいま全国に向かって、そうした夢を語るべきである。夢があるのだが、実現するための費用がないのだと率直にアピールすべきなのだ。
 夜行寝台の復活も、北海道の観光ポテンシャルを考えた時、非常に魅力的な選択肢ではないだろうか。新幹線が新函館北斗止まりのいまだから、夕方から夜間に到着する新幹線と接続させて、道内主要都市とを結んだ夜行寝台があれば、かなり大きな需要が期待できるのではないか。豪華寝台ではなく、サンライズのような大衆的な個室寝台がいいだろう。もちろんこれも車輌改修費用がないことは承知の上で、JR東日本を巻き込むようなアピールの仕方もあるような気がする。

 駅も路線も、鉄道というのは一旦廃止してしまえば二度と取り戻すことはできない。こんなことを書いたからと言って何かが変わるものだとは思っていない。しかし、北海道に残った鉄道線路と駅の数々は大好きなのである。それがなくなってしまうのは耐え難いということだけは、とにかく言っておきたいと思ったのである。

↓廃止されてしまう宗谷本線・雄信内(おのっぷない)駅
北海道の駅がなくなってしまう_e0320083_14531491.jpg

by krmtdir90 | 2016-10-04 14:54 | 鉄道の旅 | Comments(4)
Commented by yassall at 2016-10-05 00:00
山口二郎氏が台風の猛威が北海道の鉄道網に甚大な被害を及ぼしたこと触れ、復旧が出来ずに輸送手段が失われれば北海道の産業は大きな打撃を受けずにはいられないこと、それは領土が失われるに等しいことを指摘していました。国がこれを放置するなら、何を持って主権国家とするのか? リニア新幹線なんぞにうつつを抜かしている場合ではないと本当に思います。
Commented by natsu at 2016-10-05 16:44 x
地方の切り捨ては、地方の事態を中央が放置することの積み重ねによって、あちこちで進行していると思います。放置されている矛盾と不当性を地方が明らかにし、声を上げなければ流されてしまうだけです。
JR西日本が三江線の廃止を表明しましたが、JRの姿勢は(基本的にどのJRも)中央志向の経済至上主義ですから、地方の鉄道路線をお荷物としか考えていないのです。悲しいことです。
Commented by Mh at 2016-10-05 23:05 x
ポケモンでも、クラウドファンディングでもなんでもやってみれば良いと思うのですが、JRグループの中でも体質的に一番旧態依然としているのが、北海道なのかも知れません。
夜間帯に良い時間で走る列車があるので、貨物と協業(法令上の厄介はありそうですが)しても良いし、閑散線区だからできるイベントもあるはずです。
何かその場に訪れる必然を、継続的に生み出す知恵を出して、実行して欲しいものです。
Commented by natsu at 2016-10-06 11:16 x
経営基盤が脆弱なまま放り出され、会社として何十年もの間、どうやっても赤字から脱皮できない状態が当たり前になっていると、どうしても考え方が保守的になってしまうのかもしれません。しかし、どうせ実現できないと最初から投げてしまっては何も生まれないし、ここまで来たら、資金力の裏付けさえあれば実現できるという建設的提案(夢のある企画)を打ち上げて見せることが、戦略的に必要なのではないかと考えるのです。みんなが応援しなくちゃと感じるような、斬新で前向きでアッと驚くようなプランを会社として打ち出すのです。どう転んでも失うものは何もない会社なのだから、そういう意味の型破りが逆にできることに気付いてほしいと思っています。北海道というのは、そういうことが似合うところなのではないでしょうか。
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