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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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高校演劇2017・山梨県大会ー甲府への小さな旅ー(2017.11.28)

 高校演劇が嫌いな新座柳瀬のMさんが最近嵌まっているらしい甲府南高校の舞台を、機会があったら一度観てみたいと思っていた。山梨県大会が何かの事情で平日開催に変更され、観客がほとんど望めない事態になっているらしいのを知り、まあ枯れ木一本でも賑わいの一助になれるかなと出掛けてきた。

 山梨や長野は、車でよくお酒を買いに行ったりしているので、あまり遠くに行く感じはしないのである。今回は車ではなく電車で行くことにして、わが最寄り駅から8:18発の普通列車・甲府行きに乗車した。近いとはいえ小さな旅には違いない。
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 車内がロングシートだったのは残念だったが、中央本線の高尾から先は、非常に変化に富んだ車窓が楽しめるので大好きである。家を出る時にはどんよりした曇り空だったが、西進するにつれて雲が取れていき、笹子トンネルを抜けて甲府盆地に出る頃にはすっかり快晴になっていた。線路が北に大きくカーブして、徐々に標高を下げていく勝沼ぶどう郷あたりの景色はやはり素晴らしい。盆地はかなり霞んでいたが、周囲の山々もよく見えて、その向こうに富士山も頭を見せていた。
 9:58、甲府駅着。
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 会場のコラニー文化ホールは、この平和通りをしばらく直進してから右折するようだ。
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 駅から徒歩20分とあったが、わたしにはもう少しかかったかもしれない。でも、普段の運動不足解消にはちょうどいい距離だったと思う。風もなく日射しも暖かで、絶好の散歩日和だった。
 コラニー文化ホール正面入口。
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 小ホール入口。
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 やはり閑散としていて、受付の先生からプログラムなどを受け取って中に入ると、
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 うーん、この状況はやはり悲しい。開演時には少し増えたけれど。

 この日は大会の一日目で、5校の上演が行われたようだ。せっかく行くのだから、目当ては甲府南だったけれど、他の学校の上演も観せてもらおうと思っていた。1校目は間に合わなかったが、2校目から昼休みを挟んで最後まで、4校の上演を観せていただいた。以下、観劇した者の礼儀として、感じたことを少し書かせてもらうことにする。 

白根高校「オヤジ焼きそば」
 学園祭で音楽部が部活動補助金の獲得を目指し、焼きそば屋を開くまでを舞台にした。生徒創作だと思うが、一つ一つのエピソードが作り切れていないので、ストーリーとしてちゃんと展開させられていないように思った。一生懸命工夫して演じているのは判ったが、セリフや動きをかたちとして作り過ぎる傾向があるので、人物の気持ちがあまり見えてこないのが残念だった。後半、音楽に乗せて焼きそば屋のあれこれをダンス風に演じるところは楽しかった。

北杜高校「Party People」
 これも学園祭もの。クラスごとに作るシンボルオブジェ?に取り組む3人組を描く。仲間とか絆とか、テーマのようなものを生に出し過ぎているのがどうだっただろうか。説明的にしてしまうと、人物の気持ちはかえって薄くなってしまうと思う。3人ともよく動けていると思ったが、力が入り過ぎて乱暴になっているところも散見された。舞台はよく工夫されていたが、その一つ一つが本当に効果的だったかどうかは振り返ってみた方がいいかもしれない。

甲府南高校「バスに乗る、九月、晴れ、帰り道。」
 どこまで書けるか判らないが、ここは長く書きます。
 Mさんが夢中になるのはよく判るような気がした。高校生の話でありながら、まったく高校演劇らしくないユニークな舞台になっていると思った。
 それはまず、台本がきわめてユニークに書かれているのだと思う。記憶喪失というような題材は、高校演劇になるといかようにもドラマチックにできるものだと思うが(また多くの場合、その誘惑に負けてしまうと思う)、この台本は記憶喪失の主人公をきわめて淡々と(素っ気ないくらい)、その日常の一コマ一コマを点描するというかたちで動かしてみせる。それは悲劇的でも喜劇的でもなく、終始きわめてゆるい雰囲気の中で展開されるものである。なかなかこんなふうに書けるものではない。
 主人公の少女はみずからが陥ってしまった困難な事態に、悲観的になったり投げ遣りになったりするふうもなく、ごく自然にその事態を受け止めているように見える。台本が彼女をそういうふうに拾い上げているのだと思う。台本の筋としては、一日前のことを記憶していられなくなってしまった少女(ナオコ)が、毎日クラスの誰かが時間を確認してくれる帰りのバス停から、ある九月の晴れた日、間違って反対方向に行くバスに乗ってしまったという、ただそれだけの話なのである。
 一方に8人の(男女の)クラスメートを配し、ナオコのモノローグと組み合わせながら、現実なのか空想なのか定かでない様々なイメージを交錯させていく手法が面白い。一人だけセリフをまったく覚えていないのに本番を迎えてしまう演劇部員の自分とか、いつの間にか高校の国語教師になって授業をしている自分とか、何やら地球征服を企む宇宙人の一団に翻弄される自分とか、一歩間違えればどうにも収拾できなくなりそうな飛躍したイメージが次々に並べられるのだが、作者はそれらを説明したり解釈したりすることなく、そのまま反対方向行きのバスに乗ってしまった彼女の現実に、ストレートにつないでしまうのである。
 現実と言っても、彼女の間違いに気付いて必死にバスを追い掛ける8人のクラスメートは現実にはあり得ないだろう。間違って乗ったバスの運転手が、彼女の記憶喪失の原因となった交通事故で彼女をはねた運転手だったというのも、考えてみれば現実にあり得たかどうかは判らないのである。にもかかわらず、舞台は様々なイメージの延長線上にこれらのシーンを置くことで、彼女と周囲の人間との間に生まれた思いやりとか感謝の思いとかいう、なかなか正面切っては言いにくい(恥ずかしい)感情を見事に浮かび上がらせて見せるのである。
 何とも不思議な作劇術と言うしかない。だが、最後に舞台上にこみ上げる温かな雰囲気は、彼女と周囲の人間がたどり着いた確かな現実に違いない。最後に2つのラストシーンを用意して、彼女が記憶を取り戻す(いかにもありそうな)大団円を横に退けるようにして、記憶は戻らないがその不自由を丸ごと認め合う彼女とクラスメートの輪に自然に収斂させたところに、実に控え目だが熱い作者の思いが込められていると思った。
 役者たちもみんないいと思った。上手いというのとはまったく違う。そういう言い方をするなら、下手な子も混じっていたと思う。ここの役者たちは、みんな舞台上にしっかり存在してみせるという点で抜きん出ていると思った。高校演劇特有の力みやわざとらしさといったものとは無縁のところで、実に自然にそこに立っていたり動いていたりしていたと思う。高校生はすぐにいろいろやりたがってしまうのだけれど、そういう誘惑を排して、一見控え目だけれど非常に繊細で品のある演技を目指していたのだと思う。特にナオコをやった女子の、何もしない(ように見える)存在感は際立っていた。
 3人の男子も良かった。告白のシーンはいかにもという感じでやっているように見えるが、ありふれた高校演劇のこれでもかとは明らかに異なる抑制が見えて、実にいい気分で笑わせてもらえた。何も考えず思い切ってやっているだけのように見えて、実はこのあたりまでという線引きが3人の中で共有されていたのだろうと思った。これはなかなかできることではない。全員の声の大きさなども恐らく計算されたもので、出すのは簡単だけれど、ちょうどいいところにみんなが調整するのは簡単なことではないだろう。意図された自然な会話というのは、高校演劇では非常に珍しいものだと思う。
 最初の方で、みんなが楽器を演奏するシーンがとても良かった。この音の小ささが何とも言えず新鮮だった。最初、スピーカーから聞こえるか聞こえないかという小さな音(リズム?)が出ているなと思っているうちに、一人また一人と非常に臆病な音が加わっていく感じが良かった。お互いにつながりを作ることの難しさと不安を表しているように思えて、何と言えばいいのだろう、一気に劇世界に引き込まれるような気がした。わたしは大音量もけっこう使ったが、この、気付かない人もいるかもしれないような小さな音というのには非常に弱いのだ。
 これでもかと押していくことが多い高校演劇特有の風潮の中で、芝居というものが持つ繊細な楽しさと遊んでいるような舞台作りに好感を持った。いい舞台を観せてもらったなと思った。

甲府西高校「盤上の沖縄戦」
 わたしは知らなかったが、既成台本なのだろうか。最初花道から登場した女子の自然な動きに目を奪われた。二人芝居だが、もう一人の女子も自然に動けていて、碁盤を挟んだ2人のやり取りはとてもリラックスした雰囲気で良かったと思う。これだけで最後まで持って行ってくれたら、とてもいい舞台になったのにと思った。台本がそうなっていたのかもしれないが、一々前に出て沖縄戦の事情を演じるところで流れが途切れてしまい、この部分のそれらしい演技はあまり効果的にはなっていないと感じた。この日観た4校の中ではわたしは2位だと思ったので、少人数で大変なのかもしれないが、装置は代用品ではなくぜひパネルを作って欲しいと思ったことを言っておく。

 昼休みにこのお店を探して、牛すじ煮込みのランチ700円を食べた。
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 食後に、前の道から。
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 これ、甲斐駒ヶ岳だよね。すぐ近くにこういう山が見える街というのはいいなと思った。
 食後の一服を済ませてホールに戻ると、Mさんと事務局のMさん(あれっ、イニシャル同じだ)がいた。事務局のMさんは甲府南が終わると予定があると言って帰ったが、Mさんとわたしは最後まで観て一緒に普通列車で帰った。甲府16:46発の立川行きは、乗ってみたらセミクロスシートの車輌だった。ボックス席を確保できたから、判っていたら飲み物などを買ってから乗ったのにと思った。
 いろいろな話をしたが、先日の埼玉県大会で、時間オーバーの学校に対して非常に不明朗な処置が取られたことを知った。わたしはもう現場を退いた人間だからこれ以上は書かないが、一貫性のない扱いは今後に禍根を残すだろうと感じた。

 ここまで書いて、アップする前にツイッターを確認したら、山梨の結果をMさんがリツイートしてくれていた。わたしが観た4校からは、甲府南が最優秀、北杜が3位で関東進出を決めていた。北杜が関東に行くということだから、一点だけ付け足しておきたいと思う。
 彼らが作るオブジェはずっとカバーされた形で舞台にあったが、最後にその姿を見せるのはよほど考えないとまずいことになると思う。遠慮なく言わせてもらえば、あの程度のものではプランさえあれば1時間でできてしまうと思った。見せるのであればやはり観客を唸らせるインパクトが欲しいし、最後まで見せない(途中も舞台に出さない)処理を考えた方がいいような気がした。まあ、外野の無責任な感想ですから、無視してもらっていいのですが。
by krmtdir90 | 2017-11-29 21:40 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(2)
Commented by at 2017-11-30 20:44 x
昨日はお疲れさまでした。
全く関係者では無いのですが、natsuさんに観てもらって感想を聞けて、とても楽しい時間を過ごせました。
年末もお付き合い頂きますが、よろしくお願いいたします。
Commented by krmtdir90 at 2017-12-01 15:51
きみがきっかけをくれたお陰で、高校演劇の中でもこんなに個性的な舞台を作っているところがあるのだということを、実際に観ることができて良かったです。楽しい一日になりました。また、よろしくお願いします。natsu
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