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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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映画「花筐/HANAGATAMI」

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 キネマ旬報と並んで毎年恒例の毎日新聞映画コンクールの結果が先日発表され、この映画が日本映画大賞(第1位)を受賞したと出ていた。キネマ旬報の方では第2位だったが、監督賞はこちらの大林宣彦監督が受賞していたので、どこかやっているところがあれば観てみようかと思った。

 大林監督の映画は「時をかける少女」を始め何本かを若い頃に観た記憶があるが、その後長いこと映画から離れていたので、まったく久し振りの対面ということになった。監督もいつの間にか79歳になり、この映画は自ら肺癌で余命宣告を受ける中で撮影されたものだったようだ。檀一雄の原作は監督が映画を撮り始めた頃から温めていたもので、その実現は大林映画の集大成になるのではないかと言われていたらしい。ベストテンやコンクールは批評家など映画関係者の投票によって決まるものだから、案外そういうことが評価に影響した面はあったのではないかと思った。
 大作には違いないが(上映時間169分)、率直に言ってわたしには、これがそれほどのものとはどうしても思えなかったのである。これまで社会性や主義主張(テーマ)といったものとは一貫して無縁だった監督が、年齢を重ねる中でこれを言わなければならないという強い思いに突き動かされたことは判る気がするが、それが一方で、大林監督が撮り続けてきた映画のアヴァンギャルドな特質を突き詰めることとうまく重なったようには思えなかったのである。

 これぞ大林映画とも言うべき奇抜な映像やカット割りなどが冒頭から次々に繰り出され、とうとう最後までそれですべてを描き切ってしまうというのは驚きだった。登場人物のいる場所は映像的にすべて大胆な加工が施され、反リアリズムの作りものの空間に変質させられていた。そして、途絶えることのない音響音楽や大きくデフォルメされた事象や色彩などが、その世界をいっそう不思議な雰囲気に満たしていくのである。耽美的と言ってもいいその映像世界の中で、戦争に向かって急激に傾斜していく時代を感じながらもがく青年たちの群像を描いていく。
 大林監督のシュールさは観ているうちに気にならなくなるのだが、ある意味それに目を眩まされてしまう部分があるから、戦争は嫌だというテーマがどのようなかたちに描かれていたか(掘り下げられていたか)は、案外はっきりしないところがあったような気がした。というか、大林映画的な絢爛たる映像表現が、79歳という年齢からはとうてい考えられない力業だったことは認めるとしても、テーマを際立たせるために本当に効果的であったかどうかはよく判らないという気がしたのである。映像に目を奪われるのは確かだが、テーマに関しては案外図式的(説明的)に終わっているところも多かったように思う。

 映画の最後に、生き残った俊彦の70年後の姿を追って失われた青春を哀惜させるのだが、ここで何とはなしの違和感のようなものを覚えてしまった。主人公たち8人の中では女子2人(千歳とあきね)も生き残ったはずだが、彼女たちはどうなってしまったのだろうと考えた。そして、この映画が主人公たちの様々な思いを描いているように見えて、案外一部分しか描いていなかったのではないかと気付いたのである。男性陣はそれなりに個性的に生かされていた(作られていた)と思うが、女性陣の方は男性の目に映った(男性の目を通して美化された)ものとして造形されていたのではないかと感じたのである。わたしは原作小説を読んでいないから、そのあたりが大林宣彦のものなのか檀一雄のものなのかは判らないが、徴兵されることのない(そういう意味では男性とは異なる)彼女たちが、あの時代とあの時代の中で死んでいった主人公たちをどう感じていたのかは(思わせぶりなばかりで)あまり描かれていなかったような気がした。
 男性陣は比較的年齢の行った役者たちに17歳を演じさせていたが、やはりいくらなんでも無理があると感じつつ、それぞれの個性を表現する上ではそういう配役もありかなと感じた。だが、女性陣はそれほど年齢の離れない役者を配置していて、その美しさや可愛さが際立つようにしていたことなども、男性目線を優先させた映画作りだったのかもしれないと邪推してしまった。

 まあ、上映時間を長いと感じることはなく、終始面白く観ることはできたと思うが、繰り返し挿入される軍隊の行進シーン(その作り方)など、時代を描く大林宣彦的味付け(飛躍)はわたしの好みとは言えないということを確認させられた映画だった。仮にわたしがベストテンを選ぶとしても、これは10本の中に入って来る映画ではないなと感じた。
 吉祥寺プラザというのは初めて行く映画館だったが、サンロードを抜けた先の五日市街道沿いに、昔からあったような単独の映画館が残っているのを見て感動した。いまではこういう映画館はすっかりなくなってしまったかと思っていた。入口の横に小さな窓口がついていて、中にはちゃんと男の人が座っていて(機械ではなく)言葉を交わして入場券を買った。昔はどこの映画館でも同じだったペラペラの入場券である。階段を上るとそこ(2階)が受付で、立っていた小父さんが入場券をちゃんともぎってくれたのが嬉しかった。
(吉祥寺プラザ、1月29日)
by krmtdir90 | 2018-01-31 14:23 | 本と映画 | Comments(2)
Commented by yassall at 2018-01-31 15:03
NHKで制作過程を特集しているのを見て、めずらしく見に行こうかと思っていた映画でした。原作は学生時代に読みましたが、かなり観念的で耽美的な作品であったような記憶があります。小説の方はもう一度読み直すことがあるかも知れませんが、たぶん映画館には足を運ばず、DVDかBDの発売を待ってしまいそうです。どうも出不精はよくないですね。
Commented by natsu at 2018-01-31 15:39 x
わたしの感想はかなり偏ったもので、こんなに否定的に書いてしまっていいかなあと迷いながらアップしたのです。ベストテンで上位に行ったことでも判る通り、世の中には高く評価する批評もたくさん出ています。へそ曲がりなわたしの感想などは無視して、yassallさん、ぜひ観に行って感想を聞かせてくださいよ。
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