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主なテーマは鉄道旅、高校演劇、本と映画、それから海外旅行、その他少々、といったところ。退職後に始めたブログですが、年を取ったせいか、興味の対象は日々移っているようです。よろしく。
by natsu
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映画「ゲティ家の身代金」

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 リドリー・スコットは「エイリアン」や「ブレードランナー」のような映画ばかり撮っている監督ではない。わたしは映画を離れていた期間が20年以上あるから、この監督の作品群の中ではほぼそういう傾向の一部分しか見ていないのだが、これがあの「エイリアン/コヴェナント」に続いて、2017年に80歳で作った映画だというので、一応見ておきたいと思ったのである。それにしても、リドリー・スコットは1937年生まれ、あのウディ・アレンは1935年生まれと、ともに80歳を超えて現役バリバリの映画監督であり続けるというのは凄いことだと思う。

 この映画は、1973年に実際にローマで起きたジャン・ポール・ゲティ3世誘拐事件というものを描いている。世界一の大富豪と言われたアメリカの石油王ジャン・ポール・ゲティ氏の孫が誘拐され、身代金1700万ドルが要求された事件である。当時けっこう話題になった事件のようだが、わたしの記憶にはない。大富豪にとっては大した金額ではないと思われたが、ゲティ氏がこの支払いを断固拒否したことで話題になったようだ。
 映画の主人公は人質ポールの母親ゲイル・ハリス(ミシェル・ウィリアムズ)だが、彼女はゲティ氏の息子のゲティ2世と結婚したものの、ドラッグなどに溺れた彼とは離婚していたことが事情を複雑にしたところもあったようだ。人質ポール(チャーリー・プラマー)はゲティ氏(クリストファー・プラマー)の孫には違いないが、ゲティ氏には孫は14人もいて、もし身代金を払えば孫全員が誘拐の危険にさらされるというのがゲティ氏の言い分だったらしい。
 80歳のリドリー・スコット監督は、この老いた大富豪ゲティ氏の孤独を描くことにも注力していて、そこのところがこの映画の一つの見どころになっていると感じた。誘拐事件の経緯と解決に至る経過はそれなりの緊迫感で描かれているが、それだけではこの映画は面白いものにはならなかっただろう。一見すると冷酷な金の亡者のようにしか見えないゲティ氏を、揺れ動く内面を隠した弱い存在と感じさせたところに、この映画の核心があったように思う。
 映画は事件が解決した後、ゲティ氏の死去によってゲイルとポールの母子が莫大な遺産の管理人になるところまでを描いているが、これは蛇足だったような気がした。「ルイ14世の死」を見たあとだったからか、このゲティ氏の死をもう少し丁寧に描いて欲しかったような気がした。

 なお、この映画は完成直前に、ゲティ氏を演じていたケビン・スペイシーがセクハラ疑惑で訴えられるということが起こったため、一時は公開中止の危機に陥ったらしい。スコット監督と製作陣は、公開2ヵ月前に急遽クリストファー・プラマーをゲティ氏役に差し替え、たった9日間で関係シーンの再撮影を行って間に合わせたようだ。共演者のスケジュール調整などもあったはずだから、ほとんど綱渡りのような奇跡的な経過をたどった映画だったのである。
 クリストファー・プラマーはあの「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年)のトラップ大佐だが、1929年生まれの彼は撮影時には88歳、思いがけない成り行きから年齢相応のいい役を得て、自然体で頑固な老人の存在感を演じ切っていたように思う。
(立川シネマシティ2、6月1日)
by krmtdir90 | 2018-06-03 12:17 | 本と映画 | Comments(0)
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