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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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高校演劇2018・埼玉県西部A地区秋季発表会(2018.9.22~23)

 発表会があったのは一週間以上前である。上演された7校の舞台をすべて見させていただいたのだから、いままでなら礼儀として数日中のうちに感想を掲載してきたところである。だが、今回はいろいろ考えてしまうことがあって、中国旅行記を理由にきょうまで延び延びにしてしまった。旅行記も終わったので、もう書かなければならないだろう。

 まず講評というものについてである。今回西部Aでメインの審査員をされたのは高校演劇サミットの林成彦氏で、今年から事務局長に就任したMさんが強く推して実現した人選だったようだ。その講評を聞いて、わたしは非常に勉強になったと率直に思っている。Mさんの意図も理解できたと思う。わたしには出来なかったことだが、こういうふうに具体的に言ってもらえて、励ましてもらえたら生徒は元気が出るだろうなと思った。褒め上手というか、こんなところにスポットを当てればいいのかと、感心させられるところがたくさんあった。
 講評の中身はどの学校に対しても、最初の8~9割が褒め言葉で、残り1~2割が問題点の指摘という構成になっていた。そういう割合で話すこと自体は、その人なりの考えがあるのだからかまわないと思うが、わたしにはどうしても、問題点を指摘する部分がやや気を遣い過ぎのように思えて仕方がなかったのである。これだけ上手に褒められるのだから、もう少しストレートな言い方をしてもバランスは取れるのではないかと感じてしまった。
 どういう点を問題と考えるのかというところは、相手にきちんと伝わるように論理的に言わなければならないものなのではないか。それをちょっとした気付きのように言ったり、軽い提案のように言ったりするのでは、評価の核心部分が生徒に伝わらないような気がしたのである。いいところはいいと取り上げてやるのはとても大事なことだけれど、ダメなところはダメとストレートに言ってやることも必要なことなのではないか。もちろん言い方を考えなければいけないことは判るつもりだが、そこのところに関する物足りなさは、林氏の講評が終わった後もずっとわたしの中に残り続けているのである。
 わたしはもう審査員を引退させてもらったから、いまさら振り返ってみても仕方がないかもしれないが、わたしはいつも8~9割を問題点の指摘に当てていたような気がする。講評時間が短い時はほとんど問題点の話だけで終わってしまうこともあったと思う。わたしに中には、審査員というのは推薦校を選ぶのではなくて、それ以外の学校を落とすものなのだという思いが抜き難くあったのだと思う。だから、落とす学校にその理由をきちんと伝えなければならないという気持ちが勝ってしまい、褒めることが疎かになっていたことは認めないわけにはいかない。
 そんなことはあり得ないが、もしわたしがもう一度審査員をやることがあれば、もう少し褒めることを大切にするかもしれないとは思った。それでも、わたしの基本的な考えはたぶん変わらないし、変えようがないものだと思ったのである。

 こんなことを考えてしまったのは、朝霞西がやった鴻上尚史の舞台(「恋愛戯曲」)が関係している。この舞台は最初から最後まで暗転の連続で、鴻上の本をやる時に絶対にやってはいけないことをやってしまった舞台だった。林氏もこの点には最後に触れていたが、それは考えてみた方がいいかもしれないねといった程度の(言い方を正確に覚えているわけではないが)、優しい指摘にしかわたしには聞こえなかったのである。どんなに役者が上手かったとしても、ここが論旨の中心に来なければ講評としてはおかしかったのではないか。
 新座総合技術の生徒創作(「EMMA」)についても同様の感想を持った。創作に挑戦したいと思った生徒の気持ちは大切かもしれないが、物語として成立していないことはきちんと言ってやらなければいけなかったのではないか。それは顧問を含めたオトナの責任であり、林氏の講評はその点を意識的に外している(或いはぼかしている)としか思えなかったのである。
 退職からもう十年以上が経過してしまったのだが、わたしは西部A地区に13年お世話になった。昔は良かったという話が見苦しいのは承知しているが、あの頃は終演後の飲み会で顧問同士が終わった芝居を俎上に上げ、ああでもないこうでもないとやり合うのが普通だった。少なくとも、核心に触れない傷の舐め合いだけはしたくないとみんなが思っていた。暗転の連続も物語の破綻も、遠慮して当たり障りのないことしか言わない審査員の前で、自分のところは棚に上げて厳しく指摘し合っていただろうと思う。納得できない講評をした審査員に噛み付いたこともあった。
 メンバーが替わり時代が変われば、地区の雰囲気や審査員に求められるものも変わっていくのが当然である。だが、いまの風潮が地区や全体の底上げにつながっているようには、どうしても思えないということなのである。わたしはもう過去の人間だと自覚しているが、批判に耐えられず感情的な反撥を返してくる顧問の存在とか(一人や二人ではなかった)、生徒受けする言葉を並べるだけの講評では(林氏のことを言っているのではない)不十分であることは言っておかなければならないと思う。林氏の、8~9割が褒め言葉というのがそこだけ一人歩きをして、これからの講評のスタンダードになるのだとしたら、それは決定的な誤りだということは指摘しておきたい。

 すでに地区の顧問集団とは別のところにいるのだし、大会などでお互いに助け合うという共通の基盤は失われているのだから、いつまでも昔のような厳しい感想を書き続けるのはやめるべきだと思うようになった。遠慮した方がいいなと感じさせてしまうのは、その集団の方に問題があるのも確かなことだと思っているが、過去の人間はそれを批判するより自分を省みた方が生産的である。年を取ってから、いっそう生産的なことをしたいという願望は強くなっていると思う。

 西部Aを含む埼玉Aブロックの最終結果が30日の夜に出て、新座柳瀬「Ernest!?」)が県大会に駒を進めたのは(玉城デニーが沖縄県知事に当選したのと合わせて)とても嬉しいことだった。だが、正直に言うと、わたしはこの舞台をそんなにいいとは思わなかったのである。もちろん役者の力量とか芝居の上手さとかは抜きん出ていたし、選考の結果は(西部Aしか見ていないのだから、あくまでその中だけのこととして言うのだが)まったく妥当なものだったと思っている。だが、稲葉智巳をずっと見続けてきた者としては、今回の舞台には不満を感じるところもけっこうあったということなのである。
 これまではたいてい、終演後にそれを直に言うチャンスがあったのだが、今回はそれがなかったので、さてどうしたものかと悩んでいる。まあ、いろいろなことに配慮して、今回ここではあまり踏み込んで言うのはやめておいた方がいいだろうという結論になった(と言いながら、結局かなり言っちゃうんですけどね)。
 実は、今回の舞台を見た後で、手許にあった2015年にコピスで上演した時の「Ernest!」(この時は?はついていない)の台本を読み直してみたのである。今回の台本が、ストーリーの展開として非常にバランスが悪いと感じたからである。後半にいろいろなことが集中し過ぎているのではないか。わたしはもともと物覚えが悪く、3年前のことなどほとんど忘れてしまっていたのだが、この台本を読んで鮮明に甦ってくるものがあった。「Love&Chance!」より前だったが、これは稲葉智巳としてはすごく良く書けた台本だったのではないか。それがもう一度確認できたように思う。
 今回の台本では、非常に重要な役回りであったフレディーという役が欠けていたのが大きかった。人数の関係からそれで書き直すしかなかったのだろうが、わたしの印象はすべてそこから発したものだったことが理解された。今回の台本が手許にないから細かい比較はできないが、フレディーによって絶妙に転がされていたストーリーが、きわめて不自由なかたちで進んで行くしかなくなってしまっていたのだと思う。今回はフレディーなしで行こうと決めたのだから、いま前の台本を持ち出すことにはほとんど意味がないが、フレディーが絡むことで様々な設定が少しずつ開示されていた前の台本の自然さが、今回はややギクシャクしてしまった感は否めなかったのではないだろうか。
 あともう一つ、ギャグや役者の作り方に、いままでの稲葉智巳なら注意深く避けていたはずの、「物欲しげなあざとさ」が見え隠れしている部分があったように感じた。3年前にはなかった「オンリーユー」の音楽と照明を使った繰り返しなどは、決して好ましい方向とは思えなかったのである。ウケ狙いの意図が透けてしまうだけで、そこでストーリーや役者の気持ちが途切れてしまっていたと思う。たぶんハンカチのギャグあたりまでが許容範囲なのであって、笑いを無理矢理取りに行っていると感じられてしまうのは作品にとって逆効果だし、何より稲葉作品の美点であった品を損ねてしまうような気がした。
 指摘したいことはもう少しあるのだが、どうしても3年前の舞台と比較したくなってしまうので、まだ県大もあることだし、こうした場ではこのくらいまでで留めておきたいと思う。いい原作を掘り当てたのだから、県大ではぜひ「Love&Chance!」と並ぶ(超える)舞台を見せてほしいと期待している。

 あとは、今回気になった学校について簡単に触れておく。細田学園「スイッチを押すとき」)は原作のある生徒創作だったが、生徒創作にありがちな説明過多に陥らなかったのは(審査員も言っていたが)良かったと思う。どういう舞台にしたいのかも伝わってきた。ただ、役者が全体的に元気がなく、(高校演劇にありがちな)声を張り上げればいいというのではないが、もうちょっと声を大きくして、セリフに変化がつけられるようになったらずっと良くなるだろうと思った。
 今回の上演の中で、朝霞の舞台(「蜉蝣の記」)にはいつになく好感を持った。既成だったようだが、思わせぶりなところが多くてやりにくい台本だったと思うが、きわめて繊細に(ちょっと褒め過ぎか?)台本の世界を作り出していたと思う。役者が変な色気を出さず、終始淡々と演じていたのが(この台本と合っていて)印象的だった。朝霞は時々やり過ぎてしまうのが困ったものだと思っていたが、今回の舞台作りの方向性は安心して見ていることができて良かった。上記2校、さらなる精進を期待したい。
by krmtdir90 | 2018-10-02 10:18 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(4)
Commented by at 2018-10-02 20:56 x
先日はご観劇ありがとうございました。
地区発表会では60分に収めることに集中してしまったため、脚本の流れに無理があるとは感じていました。これから中間考査までの間に色々と考えていきたいと思います。
Commented by krmtdir90 at 2018-10-03 08:17
がんばってください!

今年の関東の会場はどこの県だろう?
Commented by at 2018-10-03 10:31 x
今年は栃木県栃木市です。
Commented by krmtdir90 at 2018-10-03 20:32
応援に行きたいなァ。
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