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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
by natsu
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映画「ボヘミアン・ラプソディ」

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 見てからずいぶん日にちが経ってしまったし、書こうかどうしようか迷ったが、非常に興味深く見たのだから、一応記録に残す意味でも書いておくことにする。
 音楽にはほとんど縁のない生活を送ってきたから、クイーンというバンド名を聞いても浮かんでくるものは残念ながら何もなかった。それでも見に行ったのは、映画として何となく面白そうな気配を感じたからである。この予感は的中した。わたしのようなクイーンのことを何も知らない者でも、この映画は何の支障もなく楽しめるものになっていた。

 映画はクイーンのヴォーカルだったフレディ・マーキュリーの半生を軸に展開している。ファンであれば誰でも知っていることなのかもしれないが、彼の複雑な生い立ちや容姿(出っ歯)に対するコンプレックス、メンバーとの出会いやクイーン結成に至る経緯など、まだ何者にもなり得ていない時期を描いた部分がまず興味深かった。彼は17歳の時、熱心なゾロアスター教徒だったインド人の両親とともにイギリスに移住したようだが、家族との折り合いは悪く、バンドをやりたいというひそかな野心を抱きながら、夜ごとロンドンのパブなどを徘徊していたらしい。そうした描写から、映画は彼の音楽に対する一途な情熱を丁寧に描き出していく。
 クイーンのメンバーが4人揃って活動を開始したのは1971年だったというが、映画はその後の、様々な曲の製作過程やレコーディングの様子、またそれらがヒットして世界中に出て行くようになったツアーのライブシーンなどを克明に映し出している。この映画はドキュメンタリーではないから、メンバー4人を始め実際の人物や出来事をすべていまの役者たちで再現することになるのだが、これが実に見事な出来栄えで驚かされた。

 実際のクイーンの映像がたくさん残っているわけだから、中途半端な再現ではとうてい観客を納得させることはできないだろう。フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックを始め、他のメンバーも合わせて、どこまで本物のクイーンになり切れるかというところが生命線となった映画だったのである。演奏の音源はすべて本物の録音を発掘して使用したようだが、映像の方はそうはいかない。実際の映像で本物のフレディを知っている観客もたくさんいる以上、そのステージ上での動きなどは、細かな表情や小さな仕草の一つ一つに至るまで、恐らく驚くべき緻密さで模倣されたのだろうと想像された。
 そういう意味で圧巻だったのは、映画のクライマックスとなった「ライブエイド」での21分間だろう。これは1985年に行われたアフリカ難民救済のチャリティーコンサートで、世界中のアーティストが集結して演奏を行ったものらしい。映画はそのライブシーンを忠実に再現して見せているのだが、7万人を超えた観客はCG合成だったとしても、ライブそのものは生身の役者の肉体によって完璧にコピーするしかなかったはずである。これが映像的に何の違和感もなく、その高揚感や興奮をほぼ完全に再現していたのが驚きだったのである。これは簡単なことではないし、これだけでこの映画を見る価値があるというものだと思った。

 フレディ・マーキュリーはその高度な歌唱力と圧倒的なステージパフォーマンスで、世界中の観客を巻き込み魅了し続けてきたらしい。映画のラミ・マレックはその魅力を十二分に表現していたと思う。実際のフレディ・マーキュリーはきっとこういう感じだったのだろうなと、有無を言わせぬ迫力で納得させてしまう存在感を放っていたと思う。後半、メンバー同士の齟齬やフレディの孤立を描くところも的確に演出されていて(監督:ブライアン・シンガー)、表の華やかさとは裏腹の陰の部分もしっかりと描き出されていたと思う。
 フレディがバイセクシュアルだったことも描かれていたが、現代のようにLGBTがオープンになっていない時代にあっては、彼の孤独や屈折はより深いものがあったと推測される。逆に、いまはそういうことを率直に語れるようになったので、それに呼応してこの映画が(フレディのドラマとして)作られたことも理解できる気がした。彼はエイズ感染によって1991年に45歳の若さで亡くなったというが、この映画は単なるサクセスストーリーではなく、フレディ・マーキュリーという天才アーティストの紆余曲折をしっかりたどって見せた伝記映画として、見事な成功を収めていたのは大したものだと思った。けっこうジーンと来たんだよね。
(立川シネマシティ2、11月15日)
by krmtdir90 | 2018-11-24 20:38 | 本と映画 | Comments(0)
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