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主なテーマ、最近は映画ばかりになってしまいましたが、この何年か海外旅行にも興味があって、もともとは鉄道旅、高校演劇、本などが中心のブログだったのですが、年を取って、あと何年元気でいられるかと考えるようになって、興味の対象は日々移っているのです。
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2018年 04月 05日 ( 1 )

「不死身の特攻兵/軍神はなぜ上官に反抗したか」(鴻上尚史)

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 鴻上尚史は好奇心の強い作家だと思う。好奇心というのは感性の問題であり、鴻上尚史はみずからの好奇心の指し示す方向を追ってここまで来たのではないか。それは非常に感覚的な過程である。
 彼がこういう本を書いているのが不思議な気がしたが、一旦興味を持ってしまったら、最後まで突き詰めないではいられない気分が生まれたのだろう。ここには、鴻上尚史が自分の好奇心を信じ、それに誠実に対処した軌跡が描かれていると思った。

 太平洋戦争末期、海軍に続いて陸軍でも行われた特攻「作戦」において、「9回出撃して、9回生きて帰って来た」特攻隊員がいたということを、鴻上尚史がたまたま知ったことが始まりである。この本は、その、陸軍第1回特攻隊のパイロットだった佐々木友次という人についてのドキュメントである。
 鴻上尚史はこの人のことを知った後、「青空に飛ぶ」という中高生向けの小説を書いたらしい。その後、やはりフィクションではないかたちでこの人のことを残すべきだと考えて、今回の本を出すことにしたようだ。この人に出会ってしまったことに対する、鴻上尚史なりの責任の取り方として共感できると思う。

 この本はドキュメンタリー(ノンフィクション)として、鴻上尚史の好奇心が正直に現れるような構成を取っている。
 短い第1章で、鴻上は佐々木友次という人を知ったきっかけと、92歳で存命だった当人にインタビューするに至る経緯を説明している。長い第2章では、鴻上がいろいろ調べたり、インタビューを通じて知った佐々木さんの生涯を、特に特攻兵としてどういう体験をしたのかを、小説(フィクション)のような書き方で描き出してみせる。続く第3章が、札幌の病院で行われた5回のインタビュー(面会)の様子になる。この最後の面会から2ヵ月後の2016年2月9日に佐々木さんは亡くなるのだが、最後の第4章は、残された鴻上が何をどう考えたのかという考察の記録になっている。戦後(1958年)に生まれた鴻上尚史が、これまで考えたこともなかった特攻という問題と、どう向き合いどんなことを考えたのかを非常に率直に記述している。
 それゆえ、この本は誰にでも読みやすくわかりやすい本になったと思う。鴻上尚史の人となりが正直に見えていて、彼の思いがスッとこちらに伝わってくるものになっていると感じた。

 特に第4章で、現代の日本に引き付けて問題を考えようとしたところは説得力があり、一々納得し共感しながら読み進むことになった。
 特攻ということを考える時、「命令した側」と「命令を受けた側」とをきちんと区別して考えるべきであり、「命令」だったのか「志願」だったのかというような問題も、上記の区別に基づけばおのずと真実は見えてくるというのは、その通りだと思った。続けて、日本人の性質と特攻というものを関連させ、そこにあった思考の放棄と「集団我」というところに進んで、現代の日本にも見られる様々な「危うさ」に話を展開させるところは、現代の日本を見据えて非常に説得力があると感じた。

 それにしても、これまで一面的に美化され過ぎてきた特攻隊の真実を、こうしたわかりやすいかたちで世に出した鴻上尚史は、なかなか凄い人だと言うべきだろう。帯に印刷された「15万部突破!」という文字に、大きな希望を感じたいと思う。まだまだ部数を伸ばしてほしい本である。
by krmtdir90 | 2018-04-05 23:59 | 本と映画 | Comments(0)


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