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主なテーマは鉄道旅、高校演劇、本と映画、それから海外旅行、その他少々、といったところ。退職後に始めたブログですが、年を取ったせいか、興味の対象は日々移っているようです。よろしく。
by natsu
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「北の無人駅から」(渡辺一史)

 退職したら本がたくさん読めるなと思っていたが、実際は働いている時より読まなくなった。
 暇がないから読みたくなるのであって、時間がたっぷりあると案外そんなものなのかもしれない。元々、勉強はあまり好きな方ではなかったし。

 だから、昨年読んだ本と言ってもわずかなもので、その中でベストワンと言ってもたいしたことではない。
 だが、この本はたいしたものだ。眠っていた好奇心が刺激され、面白くて久しぶりに熱中した。やっぱり、本を読まなくちゃいけないと反省させられた。

 渡辺一史という、1968年生まれ・北海道在住のライターによるノンフィクション(ルポルタージュ)である。北海道新聞社の出版で、まあかなりローカルな内容の本だから、普通ならわが町の書店などには絶対並ばないだろうと思われる本だが、サントリー学芸賞とやらを受賞したとかで、売れるかもしれないと誰かが考えたのかもしれない、5~6冊平積みになっていた。厚さ38ミリ、800ページ近い本だから、5~6冊でも結構な高さになる。

 わたしがなぜ手に取ったかというと、学芸賞のせいではなく、たまたまテツになりかかっていて、ここで取り上げられている6つの駅が、みんなそれなりに知っている興味のある駅だったからだ。
 小幌、茅沼、新十津川、北浜、増毛、そして奥白滝信号場。

 筆者はこれらの駅を訪ね、これらの駅につながる様々な人々を訪ね、これらの駅やその周辺の土地にまつわる思いがけない物語を明らかにしていく。それは、確かにローカルな物語には違いないが、誰も知らなかった北海道という地方のいろいろな問題を、実に興味深くドラマチックに提示して見せてくれるのだ。

 例えば、第1章の小幌という駅。いやしくもテツのはしくれなら誰一人知らない人はいない、秘境駅ランキング(などというものがあるのだ)第1位の室蘭本線にある無人駅なのだが。
 インターネットで検索すると、様々な探訪記などにヒットする。実際、日に数本しか停まらない普通列車が停車した時、その一種異様な雰囲気というか奇妙な違和感といったものは、十分に感じることができる。両側がトンネルで、周囲は鬱蒼とした斜面と海に落ち込む崖で、外部と全くつながっているようには見えない暗いホーム(わたしが行ったのは雨模様の日だった)。
 だが、この本で明らかになる物語の壮絶さは、ちょっと言葉を失うような思いがけないもので、実際何と言っていいか判らないようなものである。こんな場所にも、かつて人が住み着いていた時代があったというだけで、もう十分な驚きなのだが。

 茅沼駅とタンチョウヅルの話も興味深い。自然保護とか環境問題とか、最初からそういう予定の切り口で整理してしまうのではなく、あくまで現場に立って、そこから具体的に問題の複雑さと向き合っていく。これが、どの物語にも共通する筆者の態度だ。
 新十津川駅と米作りの話は、最も多くのページを費やしている章だが、北海道でもきわめて限定的な地域に密着することで、そこから北海道全体あるいは日本全体にまで結び付く、農業の抱える様々な問題の考察へと展開していく。初めて知ることも多く、テーマの提示の仕方が新鮮で、自然と引き込まれてしまった。
 奥白滝という消えた駅と村の消長の話なども、どれも面白く思いがけない話ばかりで、結局いくら鉄道が好きで、それらの駅をいくら訪れたとしても、旅行者などには到底うかがい知ることのできない、興味深い物語があるということが明らかにされているのだ。

 各章の後ろに、やや小さな活字で何ページにもわたってぎっしりと付けられた、何と言えばいいのだろう、注のようなガイドのようなページも面白く、隅々にまで筆者の問題意識の広範なことが表れていて、たいしたものだと思った。

 ところが。
 平積みになっていた本は、わたしが買った後全く売れた形跡がなく、やや奥に移されてしばらく置かれていたが、ある日忽然と姿を消した。返品されてしまったのだろうか。
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# by krmtdir90 | 2013-04-24 14:19 | 本と映画 | Comments(0)

「想像ラジオ」(いとうせいこう)

 いとうせいこうという名前は確かに記憶にあって、でもそれは、昔この人の何かを読んだことがあるな程度のもので、まあすっかり忘れていたと言った方が事実に近い。

 これは3.11を扱った小説だということは新聞で知っていたが、とりたてて読まなければと思っていたわけではない。3.11や原発絡みの本は次から次へと店頭に並ぶが、気にはなっても、とても一々つきあってはいられないというのが正直な感想だった。
 だから、近所の書店の棚でこれを見つけた時、なぜ買おうという気になったのかよく判らない。
 結局、新聞のあと実物に出会うまでのタイミングが良かったとか、「想像ラジオ」というタイトルに引っかかるものがあったとかいうことだろうと思う。

 実際、このタイトルには人を振り向かせる不思議な力があった。
 と言うか、この本はタイトルに込められたメッセージがすべて、と言ってもいい本ではないかと思った。それは思いもよらない発想で、読むと、多分そうなんだよなと納得させられる。

 それにしても、われわれは随分あっさりと、3.11に関わるいろいろなことを忘れようとしているなと、まあ気付かされたと言うか。
 忘れるという単純なことではなく、当事者と非当事者の間の、交わることのない明らかな距離感のようなもの。初めは感じていたはずのそのもどかしい思いが、最近は次第に薄れてしまっているというような感覚。

 あの晩、煙草を吸いにベランダに出たら、空には上弦の月が何事もなかったように煌々と照っていて、なぜか不意に5・7・5の言葉が浮かんできたのだった。
 「被災地を照らしているか上弦の月」。
 「被災地を照らしているのか上弦の月」。

 日本人というのは、気持ちの昂ぶりが表出されようとする時、自然に5音と7音のリズムが出てくるのかもしれない、そしてその気持ちが溢れそうになる時、これも自然に字余りの姿になってしまうのかもしれないと思った。

 読み終わって作者略歴を見たら、昔読んだ記憶の本は「ノーライフキング」という1988年のデビュー作だった。
 面白かったという記憶はない。あの本、まだどこかにあるだろうか。
# by krmtdir90 | 2013-04-24 11:45 | 本と映画 | Comments(0)

高校演劇・春の大会

 4月20日に、埼玉県高等学校演劇連盟西部A地区の春季発表会(於・朝霞コミュニティーセンター)に行ってきた。
 朝霞・新座・和光国際・新座総合技術・朝霞西・新座柳瀬という6校の舞台を見せてもらい、夜の顧問の研修会(飲み会)にも出させてもらった。

 地区を離れて(つまり退職して)もう5年になるが、いまでもこうして暖かく仲間に入れてもらえるのは、本当は迷惑に思っている顧問もいるのかもしれないが、ホントにありがたいことだと思っている。

 芝居の方は、新座がやった「トシドンの放課後」が一番いいと思った。研修会に集まった先生方の評判もほぼ一致していた。
 話を聞くと、上演にこぎつけるまで最後の一週間などは本当に大変だったようだが、顧問が心配していたセリフもちゃんと入り、とちりも皆無で、それぞれの生徒がその役にぴったりとはまって、しっかりしたやり取りを最後まで見せてくれていた。
 生徒というのは、周囲の心配をよそに、ある時不意に、階段をポンと軽く上がって見せてくれたりするのだ。この本番が、ちょうどその瞬間に一致したのかもしれないと思った。

 あとは和光国際が、昨秋の不自然な固さから見事に脱して、キャスト一人一人の個性が生きた、伸び伸びした芝居を見せてくれた。
 みんなが楽しんで、やりたいことをやっているなと思った。この調子で進んでいけば、まだまだ良くなる余地があると思った。

 新座柳瀬は相変わらず達者で、作者の才気を感じさせる舞台だった。しかし、今回は台本も舞台もやや作り込みが足りなかった印象で、全体にぎくしゃくした感じが最後まで抜けなかった。残念。
 充て書きの効果だろう、それぞれの生徒の個性が徐々に際立ってきているのは楽しみだと思う。

 夜、(少し遠慮して?)あまり飲まないようにしたから、翌21日も快調だったので、散歩がてら西部B地区の大会(於・所沢市中央公民館)に行って、入間向陽の舞台を見てきた。
 ポリエンヌをやった生徒がやめてしまい、部員が1人になってしまったというのをブログで見ていたから、ちょっと気になっていたのだ。

 舞台は当然一人芝居だったが、ピンチをものともせず、むしろ飛躍へのきっかけにしてしまうような見事な出来で、大いに楽しませてもらった。
 一人でやり取りをする難しさは並大抵のものではないが、ここまでできればたいしたものだと思った。さすがに最後のあたりはやや単調になってしまったが、それが気になったのは、要するに全体がちゃんとできていたから、ということになるだろう。
# by krmtdir90 | 2013-04-22 13:31 | 高校演劇、その他の演劇 | Comments(4)

ばんえつ物語

 トラピックスの日帰りツアーに、磐越西線・SLばんえつ物語号に乗りに行くというツアーがあったので、4月13日に妻につきあってもらって行ってきた。
 往復新幹線を使って、新潟→会津若松をばんえつ物語号に乗り、会津で3時間ほどのフリータイム、その後あいづライナーで郡山までというコースだった。

 遅れてでもテツの仲間入りをするためには、一度くらいSLに乗っておかなければ話にならないと思っていた。
 確かに、あのどこからともなく侵入してくる煙の息苦しさとか黒い粉塵とか、実際に乗ってみなければ実感できないものがあった。昔の読み物などに書かれていた、SLがトンネルに入った時のすさまじい状況とか、傾斜を上る時の機関の喘ぎ(振動や音)と言ったようなもの、なるほどと思うことが多かった。

 青春18きっぷが使える時は混雑するらしいが、昨日は指定席の3分の1くらいしか埋まっておらず、空席を自由に行き来して、大いに楽しむことができた。

 驚いたこと。沿線のカメラマンの数。数えたわけではないから正確なところは判らないが、千人は優に超えていたのではないか。少なくとも、乗客の何倍もいたことは確かだろう。
 本当に、至る所にいた。一日1回(2回狙うためには、大変な待ち時間がある)のシャッターチャンスを狙って、みんな車で駆けつけているようだった。
 うーむ。毎週来てる人もいるのだろう。撮りテツ恐るべし。

 良かったこと。会津磐梯山を車窓に十分堪能できたこと。
 前に、初めて磐越西線に乗ったのは11年12月23日だった(18きっぷでこっちから新潟へ行った)が、この時は雪まじりの悪天候で、景色はほとんど見えなかった。

 残念だったこと。会津・鶴ヶ城の桜がまだ固いつぼみだったこと。
 5日前、郡山から水郡線に乗った時結構咲いていたので、これは丁度いいかもしれないと思っていたら、全く裏切られた。中通りと会津では、気候は全然違うのだそうだ。
 追記。大河ドラマの影響だろう、鶴ヶ城は観光客でごった返していた。

 結論。SLは、一度経験したら、あとは沿線で見る方がいいのかもしれない。夜、帰って風呂に入ったら、鼻の穴が真っ黒になっていた。SLは、健康には良くない。
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# by krmtdir90 | 2013-04-14 18:25 | 過去の鉄道の旅 | Comments(1)

遅れてきたテツ

 春の「青春18きっぷ」の期間が終わった。今回は2枚(つまり10回) 使った。
 初めは北の方に行こうと思っていたが、どうも天候の方が荒れ模様の感じだったので、主として西の方のローカル線に乗りに行った。

 3月2日の晩からサンライズ出雲で移動して、3~6日に木次線・三江線・山陰本線の一部・因美線・津山線・播但線・舞鶴線・小浜線などに乗った。
 3月31日~4月3日には、姫新線・芸備線・呉線・井原鉄道・吉備線・赤穂線、それから関西をまたいで東海道本線美濃赤坂支線・武豊線などに乗ってきた。
 あと、3月15日には日帰りで千葉の久留里線に乗りに行った。
 さらに2回分残っていたので、4月8~9日に日光線・烏山線・水郡線・水戸線・両毛線などに行ってきた。
 
 個人的にローカル線というのは、非電化の単線で単行(つまり1両編成、多くても2両まで)、さらに座席はクロスシートがいいと思っているので、そうではない線もあったが、まあ地元の利用者は少しでも多い方がいいから、あまり勝手なことは言えない。

 「18きっぷ」を初めて使ったのは2年前の春で、最寄り駅からすべて普通列車を使って、一泊で飯田線に乗りに行った。全くの初心者だったから、おおむねおとなしく座席に座っていた。ワンマン運転とか無人駅の多さとかに驚いていた。写真も少ししか撮らなかった。

 考えてみれば、働いている間は、こんなふうな旅の仕方があるとは思いもよらなかった。たとえば三江線で江津に行っても、石見銀山を見に行こうという気はなく、タクシーで江津本町駅(秘境駅なのだ)まで行って、それから歩いて江津駅に戻るというような、何と言うこともないその途中の町の様子が十分面白いのだった。

 「青春18きっぷ」というのは、その名の通り初めは若い人に、格安で鉄道旅の面白さをアピールしようというようなことで始まったのだろうと思うが、わたしが使うようになって気付いたのは、いま実は利用者の大半(と言っては言い過ぎなら、非常に多くの部分)が、わたしと同じくらいの年配者だということだった。
 なるほど、という気がした。
 もちろん若い人も見かけるが、若い時からこういう旅を知っていたらどんなに良かっただろうと、ただうらやましいばかりである。

 先日、一つ年上の元同僚が亡くなったが、果たしていつまでこんなふうに乗れるのか誰にも判らない。ただ、こんな面白いことにこの年になって出会うことができて、ついていたなと思っている。
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# by krmtdir90 | 2013-04-11 17:40 | 過去の鉄道の旅 | Comments(0)


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